虎の新星がまた1人、輝きを増してきた。ドラフト3位阪神木浪聖也内野手(24)がヤクルト8回戦で初のV打を放った。

4回。同点に追いつき、なおも1死一、二塁で勝ち越しの右前打。2位ヤクルトに1ゲーム差、首位巨人にも2・5ゲーム差とする白星をたぐり寄せた。黄金週間が明けても貯金をため込んでいくで~。

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木浪の塁上で両手を思い切り上げるガッツポーズが、板についてきた。「絶対に打ってやろうと強い気持ちを持って打席に入りました」。1-1の同点に追いついた直後の4回1死一、二塁。ヤクルト原の2球目を捉えて右前へ。3試合連続安打は貴重な勝ち越し打になった。

「いいところで回ってこいと思っていた。同点で終わらずに一気に逆転したい場面だったので、打つことができて良かった」。プロ入り初の決勝打だ。

酸いも甘いも経験を重ねている。ゴールデンウイーク期間は家族が青森から甲子園へ1週間続けて観戦にきていた。「久々ですね。昔は結構、観に来てくれていた。でも、あまり気にしないようにしています。変に力が入ってしまうのもよくないので」と語っていた男は、5日DeNA戦(甲子園)では1イニング2つの失策に野選…。亜大時代の後輩でもある高橋遥の足を引っ張ってしまった。それでも、直後の打席でタイムリーを放つなど、逆転勝利に貢献。勝負強い打撃は黄金週間を明け、さらに鋭さを増してきた。9回には貴重な追加点のきっかけとなる中前打でマルチ安打。ドラフト1位近本とともに虎の新人は五月病知らず? とばかりに、貯金キープへ大貢献だ。

結果を求めて、時間があればバットを握る。「子どもの頃から、夢中になったのは野球だけ。チーム練習が終わっても、自分で練習したくなるほど、打ち込んでました」。野球を始めた、幼い頃と同じ気持ちでバットを振り込んだ手は、分厚く固い。「まだまだ、これから。社会人のときとは違って、プロは毎日、試合がある。結果を出し続けることが難しい。だから、人より多く練習しないと」。そんな男だからこそ、初のヒーローインタビューを受けても慢心などないはずだ。

「絶対明日も勝ちますので、熱い声援をお願いします」。チームは8日、5カード連続勝ち越しに挑む。12連戦連勝締めもかかる。ハツラツとしたプレーで勝利を追い求める。【真柴健】