阪神が最下位ヤクルトに延長戦の末に敗れ、自力CS進出の可能性が消滅した。

4回から継投策で勝利への執念を見せたが、10回にラファエル・ドリス投手(31)が決勝点を許した。試合後、矢野燿大監督(50)は1分で会見を打ち切り、切迫感をにじませた。3球団目となる通算5000敗。逆転CSを目指すチームにとって、痛恨の敗戦になった。

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試合後の会見場が緊張感に満ちていた。自力CS進出の可能性がついに消滅。敗戦直後の矢野監督が姿を見せる。その顔は色を失っていた。9回1死一、二塁とサヨナラのチャンスを作りながらも糸原、大山が凡退。「まぁ、9回だけじゃないよね。やっぱり点を取れるところで取れてないというのは。う~ん…こういう試合になるよね」。最後は自ら「前を向いてやるしかない。前向いてやります! いいですか?」と、会見を打ち切った。時間にして約1分。真摯(しんし)に取材に応じる指揮官にして、異例の短さだった。

目を覆いたくなるシーンだった。同点で迎えた延長10回2死三塁。6番手ドリスが途中出場の塩見に初球153キロをはじき返された。打球が二遊間を破り、勝ち越し点を許すと、虎党からため息がこぼれた。接戦を落とし、3球団目の通算5000敗。同時に自力CSの可能性が消滅し、大きな節目となる敗戦になった。2試合連続の失点で敗戦投手となったドリスの目はうつろ。「こういうところで投げている以上、自分の責任です」と責任をかぶった。

執念継投も実らなかった。逆転CSに望みをつなげるため、矢野監督は試合序盤に決断を下した。3-4と1点差まで追い上げた3回2死二、三塁。投手秋山の打席で上本を送り込んだ。結果は空振り三振に終わったが、指揮官は3回4失点と精彩を欠く先発右腕の交代を早々と命じた。矢野監督は「そんなん言うてられへん。いくしかない」。7連戦の初戦であったが、その選択に迷いはなし。試合序盤からリリーフ陣をつぎ込むという険しい道を選んだ。

4回から登板した2番手島本は、2安打を浴びながら5月29日巨人戦以来となる2イニングを無失点。3番手岩崎もバレンティン、雄平から三振を奪うなど決死の投球で2イニングを打者6人で片づけた。8回はジョンソン、9回は藤川とゼロ行進。強みのブルペンで接戦に持ち込んだが勝ちきれなかった。最下位ヤクルトにまさかの敗戦。3位広島とは4・5ゲーム差…。逆転CSの夢は幻になりつつある。【桝井聡】