来季2年目を迎える中日根尾昂内野手(19)が20日、1軍定着に向けた「相棒作り」の旅に出た。早朝に名古屋を出発し、福井県のゼット社バット工場を訪問し、パワーヒッター型にカスタマイズ。その後は大阪の同社グラブ工場に足を運び、内外野両方のグラブ作りに励んだ。日刊スポーツ記者が根尾に同行し、秘密基地に「潜入」した。【取材・構成=伊東大介】

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名古屋を起点に総移動距離は520キロを超えた。根尾が来季の「相棒作り」に奔走した。早朝に名古屋を出発。特急列車に揺られ、福井・越前市へ。ゼット社バット工場に初めて足を踏み入れると、19歳の表情は変わった。職人と顔を突き合わせながら、形、太さ、グリップエンドの形状にこだわった。削りカスが飛んできても、気にしない。勝負師の目つきで根尾モデルを完成させた。

「初めて生で(作るのを)見た。強い打球を打ちたい。職人の方が細かい注文をいろいろやってくださった。早く打ってみたいですね」。まだ塗装されていない白木のバットを握りながら、1月中旬に完成する新兵器に思いをはせた。

今回、工場に持ち込んだのは、今季使用した同じ中日の高橋モデル。自らの意見を加えながら、全く別のものに仕上げた。ヘッドの頂点にへこみはなく平らで、グリップはやや太くなった。グリップエンドも小さい。今年は880グラムだったが、910グラムに増量した。同社の開発担当者は「先端を鋭角にすることで、リング状の重りがついたイメージ。ヘッドスピードは出るが、振りづらくなる。どちらかと言えば、パワーヒッター向け」と説明した。

ドラフト1位で注目された今季は、1月の合同自主トレで右ふくらはぎを痛め出遅れ。1軍デビューは9月の阪神2連戦(甲子園)。代打などで出場も2試合2打席2三振で終えた。フェニックスリーグや秋季キャンプ、台湾ウインターリーグで体をいじめ抜いた。巻き返しの手応えをつかみ、新バットには強い打球を打つためのこだわりを詰め込んだ。

午後には大阪市内の同社グラブ工場へ移動。本職の内野用だけでなく、挑戦中の外野用の要望も伝えた。「グラブの先まで神経が伝わっているようじゃないと怖い」と内外野とも手先の感覚まで伝わるプロトタイプを作る。「(道具は)ずっと追い求めるでしょうね」。来年の春季キャンプでプロトタイプをさらに磨き、1軍定着の強力な武器にする。

 

 

○…ゼット社グラブ工場で根尾が興味を示したのが、投手用グラブだった。同行した田島、垣越が見比べている姿に「やっぱり投手用は格好いいな」とポツリ。昨年のドラフト前は二刀流が注目されたが、入団後は野手に専念した。今回のグラブ探訪で、二刀流への思いが再燃した?