落ちてもめげません! 来季プロ20年目のソフトバンク内川聖一内野手(37)が26日、福岡市内の球団事務所で契約交渉に臨み、年俸4億円から1億5200万円減の2億4800万円プラス出来高払いの1年契約で更改した。プロ入り最大減俸で、野球協約の減額制限(1億円超は40%)に迫る38%減にも「いい経験をさせてもらった。初めての体験。来年が楽しみ」と節目のシーズンに雪辱を誓った。

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決して強がりではなかろう。会見場に姿を見せた内川はキッパリとした口調で言い切った。「契約は38%ダウン。評価は僕がすることではない。減額制限の40%から2%残してくれたのは球団からの愛情と思って、来年はお返しできるようにやりたい」。プロ19年目。横浜(現DeNA)からFA移籍して9年目にして初めて薄く? なった「給与明細」が届く。今季は137試合に出場して3年ぶりに規定打席に到達しながら、到達年では自己最低の打率2割5分6厘、12本塁打に終わった。2年契約が切れ、来季は大減俸からの発進となった。

「打つことでレギュラーになった。今年は(打撃の)数字が伸びなかった」。希代のヒットマンにとって「打率3割」は最低限のノルマ。内川自身が一番自覚している数字だが、ここ3年はケガもあって到達できなかった。契約交渉の席で突きつけられた数字には悔しさも募っただろうが、ポジティブにとらえることで自らにムチを打つ。「(来季が)楽しみ。打てなかったのはマイナスだが、自分の人生に(減俸は)プラス。いい経験をさせてもらった」と前を向いた。

今季は夢も実現した。一塁を守り、守備率10割を記録。念願のゴールデングラブ賞を手にした。「打の男」が努力でつかんだ新たな「勲章」だった。今年1月にキャプテンを外れた。ユニホームの胸の「C」マークは取れたが、チームけん引の気持ちは胸に宿し続けた。「大幅なダウンだけど、もらっている額は大きい。この年齢でこの数字をもらうのはないこと」。バレンティン入団など、チーム内の争いはさらに激化する。「人に勝つというのは、このチーム内だけじゃないので」と気にすることはない。目標に掲げるのはいつも打率10割。来季はプロ20年目。まだまだ老け込むつもりはない。(金額は推定)【佐竹英治】