17年前の2003年5月21日、珍プレーが起こった。巨人レイサム外野手がアウトカウントを間違え、走者がいるにもかかわらず捕球したボールをスタンドに投げ込んでしまった。このボーンヘッドで二塁走者が生還。レイサムも巨人ベンチもファンも頭を抱えた。

【復刻記事】

巨人クリス・レイサム外野手が大失態の「ファンサービス」をやってしまった。1点リードの6回1死一、二塁の場面だった。ヤクルト鈴木の左飛を捕球。だが次の瞬間、そのボールを左翼席へ投げ入れてしまったのだ。

まだ2アウトなのに「アレレッ…」。センター斉藤が三塁方向を指さして送球を指示するが時すでに遅し。ボールはすでにスタンド。審判がタイムをかけ、野球規則7・05(g)(1)を適用。カメラマン席へ入った悪送球と同じケース(テークツーベース)で二塁走者がホームインして同点。一塁走者は三塁へ進んだ。騒然とする観客の反応で、やっとミスと気づいて右手で顔を覆うしぐさをし頭をかくしかないレイサム。マウンドの高橋尚はガックリと両手をひざにつき、ベンチの原監督は顔をこわばらせた。

原監督は「何と説明していいのか。頭に血がのぼった状態だった」とおかんむり。レイサムは「アウトカウントを間違えた。チームにひどいことをした。高橋尚には調子を狂わせて申し訳ないと謝った」と恐縮。勝ったからいいようなものの、高橋尚の完封劇を消してしまう痛恨の珍プレーを演じてしまった。

◆谷二塁塁審(レイサムの失策に関して)「野球規則の7・05条g−1の通りです。ボールを投げてボールデッドになったということで2つの塁を与えました。珍しいことですね。カウントを勘違いしてたんでしょうね。僕も初めてです」

◆ヤクルト宮本(レイサム失策時の二塁走者)「捕球後の動きを見ていて、アウトカウントを間違ってるなと思ったので、帰塁してタッチアップの体勢を取りました。スタンドに投げちゃったのは見てなかったんですよ。テイク2ベース? そこまでは知りませんでしたが勉強になりました。こんなの初めてですよ」

◆野球規則七・0五(g)2個の塁が与えられる場合−送球が、(1)競技場内に観衆があふれ出ていないときに、スタンドまたはベンチに入った場合。

審判員は2個の進塁を許すにあたって、次の定めに従う。(略)悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

※記録、表記などは当時のもの