ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が驚愕(きょうがく)の打球で打線爆発のスイッチを入れた。SMBC日本シリーズ第2戦。1回にセンター頭上への強烈なライナーを放って先制適時二塁打を放つと、3回には低め変化球をすくうような「曲芸打」。その後、デスパイネの満塁弾など3発含む日本シリーズ球団タイの13得点を生み出した。チームに日本シリーズ記録更新の10連勝、ポストシーズン記録更新の14連勝をもたらし、無傷のまま地元福岡での決戦へと向かう。

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あっという間の出来事だった。ソフトバンク柳田のバットから繰り出された高速すぎるライナーがセンターを襲った。巨人丸が一瞬、動きを止めたと思いきや、打球ははるか頭上を越えてワンバウンドでフェンスに達した。1回1死一塁の第1打席でいきなりの先制適時二塁打。「シュートだと思います。(川島)慶三さんが一生懸命走ってくれたおかげです」。京セラドーム大阪がしばらくどよめきに包まれた。

3回先頭の第2打席では曲芸打で魅了した。カウント1-2から、外角低めの変化球にタイミングを外されながら、すくうようなスイングで左前打にしてみせた。今季146本、最多安打の真骨頂。またもどよめきが起きた。曲芸打の直後にグラシアルに2ランが出て、3回までに大勢は決まった。

京セラドーム大阪といえば、今年7月のオリックス戦で右翼方向の天井の照明に当たる推定150メートル弾を放ったこともあった。「ここにきて体が動くのがうれしい」。6、7月と10月の月間MVPを獲得。11月に入っても勢いは止まらない。今季よく口にしてきたセリフがある。「丁寧に打つことを心がけてます」。試合前の打撃練習でも、半分くらいの力感で逆方向へライナーを繰り返す姿も。向上心の固まりからの2安打がチームの打線に火を付けた。緩急自在、ギータのバットで巨人の“敵地”で連勝。地元での日本一4連覇が見えてきた。【浦田由紀夫】