夢はでっかく54年ぶりの快挙だ!阪神ドラフト2位のJR東日本・伊藤将司投手(24)が2日、都内ホテルで入団交渉に臨み、契約金7000万円、年俸1300万円で仮契約を結んだ。1年目の目標を問われ「10勝したい」ときっぱり。阪神新人左腕の2桁勝利は、1967年(昭42)の江夏豊を最後に出ていない。今季3勝9敗と負け越した東京ドームも、先日の都市対抗で好投連発の好相性だ。最速146キロの即戦力左腕がG倒の使者になる。(金額は推定)

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爽やかでスマートな外見からは想像できない、骨太な宣言だ。ドラフト2位伊藤将はプロ1年目の目標を問われると、迷うことなく言い切った。

「来年から即戦力として使っていただくと思うので、それに応えられるように頑張ります。やっぱり目標は大きく、10勝したいという気持ちがあります」

虎の新人投手にとって、2ケタ勝利は高い壁の1つでもある。長い歴史をひもといても、過去の達成者はわずか6人。直近では13年藤浪がクリアしているが、左腕に限れば67年に12勝した江夏までさかのぼる。54年ぶりの快挙達成なるか。伊藤将には、この左腕ならばと期待させるだけの力はある。

最速146キロの直球に多彩な変化球を交えた、高いゲームメーク能力の持ち主。「制球力だったり見にくいフォームだったりを生かしていけたら」。横浜高校の先輩で、ロッテなどでも活躍した成瀬善久(35=現BC栃木投手兼任コーチ)をほうふつさせる投球フォームも、魅力の1つといえる。

11月下旬には東京ドームを舞台とする都市対抗でも好投を続け、評価をさらに高めた。1回戦の三菱自動車岡崎戦で2失点完投勝利。敗退した2回戦のホンダ熊本戦でも救援で1回2/3を無失点に抑えた。「しっかり低めに投げるためのピッチングができた。そういう確認ができた」と納得顔だ。

阪神は今季、東京ドームで開幕から8連敗を喫するなど3勝9敗と大きく負け越し、V逸のきっかけになった。「東京ドームアレルギー」払拭(ふっしょく)へ、ルーキー左腕が貴重な存在となる可能性もありそうだ。

24歳。宿敵の強力打線で対戦してみたい選手は4番岡本だという。「年が“同級生”なので。対戦してみたいです」。チームは今季も巨人に8勝16敗と苦しみ、9年連続負け越しの屈辱を味わった。雪辱へ。16年ぶりのV奪回へ。伊藤将が背負う「即戦力」への期待値は、小さくない。【佐井陽介】

<伊藤将司(いとう・まさし)>

◆生まれ 1996年(平8)5月8日、千葉県生まれ。

◆球歴 横浜では2年春からエース。同夏の甲子園では丸亀(香川)との初戦で14三振を奪い、完投勝利。3年のセンバツは初戦で八戸学院光星に敗れた。国際武道大からJR東日本に進み、19年から2年連続で都市対抗に出場。

◆球種 直球、カーブ、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ。

◆座右の銘 報恩謝徳(ほうおんしゃとく)受けた恩義や徳に対して感謝の気持ちを持ち、お返しをすること。

◆投げ合いたい投手 楽天ドラフト1位早川。千葉・横芝中軟式野球部時代の2学年後輩。「一緒にプロで活躍することを夢見た。対戦してみたい」。

◆サイズ 178センチ、85キロ。左投げ左打ち。