巨人田口麗斗投手(25)とヤクルト広岡大志内野手(23)との1対1の交換トレードが1日、成立した。両球団の交換トレードは、76年12月のヤクルト浅野啓司投手と巨人倉田誠投手以来、約44年ぶり。凝り固まった球界トレード事情が活性化し、プロ野球が面白くなる。

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巨人がキャンプ打ち上げ翌日に発表した電撃トレードには「選手を飼い殺しにはしない」という信念があった。

田口は春季キャンプ中に右太もも裏の張りで離脱したものの順調な回復を見せていた。だが左腕では今村、高橋らが状態の良さを示すなど今季投手陣に一定のメドが立った。田口は先発に中継ぎと万能だがまだ25歳と伸びしろを残す。広岡は探していた将来性ある右のパワー打者の条件に合うが、推定年俸で5400万円も開きがあった。それでも昨季の同1億4750万円差があった沢村-ロッテ香月のケース同様、選手ファーストの視点からヤクルトとの話をまとめた。

今回のトレードは野球界の発展に向けても大きな意味を持つ。編成責任も担う原監督はトレード期限となる譲渡可能期間を撤廃し、年間を通して移籍可能とする球界改革案を提案してきた。選手を「個人事業主」「夢追い人」と位置づけ、移籍の活性化が球界の発展と選手のチャンス拡大につながるとの考えを披露してきた。キャンプ終了直後に同一リーグ球団同士という異例の状況下で、両選手に新たな環境で才能を開花させる機会を生みだした。

◆田口麗斗(たぐち・かずと)1995年(平7)9月14日、広島県生まれ。広島新庄では3年夏に高校日本代表入り。13年ドラフト3位で巨人入団。15年4月11日ヤクルト戦でプロ初登板。16年に10勝、17年に13勝で2年連続2桁勝利。19年は中継ぎとしてフル回転し、11月のプレミア12日本代表に選出。171センチ、83キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸7000万円。

◆広岡大志(ひろおか・たいし)1997年(平9)4月9日、大阪府生まれ。智弁学園では2年春夏に甲子園出場。15年ドラフト2位でヤクルト入団。16年9月29日DeNA戦でプロ初出場。同試合で三浦大輔(現DeNA監督)から初打席初本塁打を記録。19年に自身初の2桁本塁打。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1600万円。