日本野球機構(NPB)と12球団は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた営業時間短縮要請に対応するため、今季は延長戦を行わず、一部の試合で開始時間を15分から30分程度、早める方針を固めた。

これまで、延長はイニングか時間の制限があった。セは01年、パは94年から時間制限なしの12回となったが、東日本大震災の影響で11、12年は開始時から3時間30分の制限が加えられ、昨年は10回打ち切り。50~60年代は終了時刻、70~80年代は試合時間で決められ、開始から3時間のケースは時間切れ引き分けが多かった。50、51年のナイターやダブルヘッダーの第1試合では9回打ち切りがあったが、全試合で延長戦なしのシーズンは1リーグ時代から1度もない。大きなルール変更について、現場からさまざまな声が出た。

○…巨人原監督は9回打ち切りについて「決定になったらお話ししたい」と話すにとどめた。政府が、条件付きで外国人選手や指導者の入国を認めて2週間の待機期間中の練習も可能にする方針を決めたことには「そういう指示をしてもらえるならば、スポーツ界全体に非常に明るいニュースになる」と語った。

○…阪神矢野監督(9回打ち切り方針について積極的な采配になると問われ)「そうなるよね。どこの球団もそうなると思う。決定した中でやるしかない。意識の中でやっぱり早くというのはどこの球団もなってくると思う。ベンチの駒的なものもピッチャーも野手も含めて全体のレベルが上がっているというのはうちとしては強みの部分。どんどんいくところはいく。そういうふうにできるかなと思う」

○…中日与田監督(9回打ち切りに)「早く勝負をしかけ、点を取りにいかないと。東日本大震災で3時間半縛りになったときもホームで1点ビハインドでセットアッパーが出る展開が増えたと思う。彼らに負荷がかけ過ぎないようにしたい」

○…DeNA三浦監督は「まだ何とも(正式に聞いていない)。いろいろ想定して、考えてやっていきます」と語った。開幕時は救援のエスコバーを欠くが、駒不足に陥る心配をせずに継投できそうだ。

○…ヤクルト高津監督(9回打ち切りに)「やりやすい半面、おもしろさに欠ける。サヨナラも9回しかないし選手起用も変わる。勝負がつくまでやるのが一番おもしろいと思いますけど、決められたルールでしっかり対応していくのがプロ」

○…楽天石井一久GM兼監督は「延長がある、ないだけでも戦い方は変わる。ピッチャーのベンチ入りの人数をどのようにしていくのかというのもある。大きくビハインドしている時の投手を多くする必要もなくなる。『のるか、そるか』というか、三振かヒットかみたいな、そういう投手を逆に入れやすい」。涌井、岸、田中将、則本昂という、多くの投球回を稼げる先発がそろっていることもあり、特に劣勢時のロングリリーフ要員について、必要性の低さを指摘した。

○…西武辻発彦監督が今季の9回打ち切りルールを前向きに捉えた。 「投手陣が不安といううちとしては、プラスなのかなと思います。先のことを考えて、ピッチャー残してということじゃなくて、どんどんそういうパターンを使える。必ず、戦い方が9回でハッキリ終わるということを考えたら、それなりのいろいろな手があるということ」と、21年シーズンの戦い方を模索していく。

○…日本ハム栗山監督は、NPBが今季は9回打ち切り方針を固めたことについて冷静に受け止めた。中日とのオープン戦前に「それは正式決定したら話を」と前置きした上で「どういうルールであろうと、それに基づいて勝ちきるのが我々の仕事なので」と話した。