広島西川龍馬外野手(26)が、得意技の“曲芸打ち”で2本の適時打を放ち、復調の兆しを見せた。打撃不振が続き、中軸から7番に打順を落として先発出場。1点リードの4回1死二塁に続き、1点ビハインドの8回2死一、二塁でもいずれも低めのボール球を左前にはじき返し、2安打2打点。西川の奮闘で、チームは試合を引き分けに持ち込んだ。

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西川が“らしさ”を存分に発揮した。まずは1点リードの4回1死二塁の第2打席。ファウルで粘りながら、「たまたま拾えた」とカウント1-2からの7球目、地面すれすれの球を捉えてしぶとく左前に運び、二塁走者の小園をかえした。4月28日DeNA戦以来、自身11試合ぶり、44打席ぶりの適時打となった。

“曲芸”は続いた。今度は1点を追った8回2死一、二塁から、DeNA山崎のツーシームを地面に落ちる直前、ぎりぎりのタイミングで捉えてまたも左前にはじき返し、貴重な同点打に。「2本目は(山崎)康晃さんの低めに逃げていくツーシームが、大体頭に入っていた。ワンバンでも正直『行ったろう』と思っていた」と狙い打ちだった。

開幕から中軸を任されたが、打撃不振から39試合目にして初めて下位打線に名を連ねた。「完全に僕でブレーキになってますから」。西川の不調と呼応するようにチームの負けが続き、責任を感じていた。ミート重視に意識を変えたり、足の上げ方を変えるなど、試行錯誤。「何やってもアカンからとりあえずバットの色を変えてみようと。それでもアカンかったですけど」。14日DeNA戦では白から同型の焦げ茶色のバットに変えるなど、浮上のきっかけを探っていた。

チームを敗戦から救ったバットマンに、佐々岡監督は「この2本は良いきっかけにしてほしい」と期待。西川は「(きっかけに)なってくれればいいですけどね。また対戦相手も変わるので、内容のある打席を増やして、ヒットではなく凡打でも、何か良いきっかけをつかめれば」。上位浮上には、西川の完全復活が欠かせない。【古財稜明】