若き侍戦士がソフトバンクの窮地を救った。4-5の9回2死。あと1死で今季2度目の5連敗となるところで、栗原陵矢捕手(24)が右翼ポール際にライナーで同点の8号ソロを運んだ。

自身10試合ぶりの1発で引き分けに持ち込み「前の打席でランナーを送ることができなかったので、何とか取り返そうと、その気持ちだけでした」。同点を狙った7回無死一塁では送りバントを失敗していただけに、ミスを取り返す千金弾になった。

昨年、日本シリーズMVPを獲得するなどブレークした「マロン砲」。今季は開幕こそ7番打者でスタートしたが、4月上旬からクリーンアップを任されている。今月16日には東京五輪の日本代表に選出され「びっくりです。まさか、ですね」と驚いていたが、着実にチームの主軸打者として進化を続けている。

侍ジャパンでは外野手としての選出だが、本職の捕手や内野も守れるユーティリティー性の高さにも期待されており「いろんなポジションができるので、しっかり練習していきたい」と気合十分だ。この日はプロ2度目の三塁で先発し、3番打者として2安打1四球で存在感を示した。

交流戦で大きく負け越し、リーグ再開初戦の前日18日もわずか1得点で敗戦。苦しむ打線の中で、チームトップの打率2割9分2厘と奮闘している栗原の活躍に、工藤監督は「よく打ったね。だってあれで引き分けたんだからさ。負けなくて良かったなと思います」と拍手を送った。【山本大地】