“ドラ1左腕”の心意気は、またしても勝利につながらなかった。日本ハムは12日ソフトバンク戦(札幌ドーム)で、19年ドラフト1位の河野竜生投手(23)が先発。6回5安打2失点と試合はつくったものの、味方の援護がなく、6敗目を喫した。将来的に、左のエースとして独り立ちが期待される背番号28の好投が白星に直結しない。

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日本ハム河野は、6回を投げ終えベンチに腰掛けると、悔しげに虚空を見つめた。6回5安打2失点で降板。球数は、ちょうど100球だった。「調子自体は悪くなかった」と、内容はまずまず。それだけに「2回の失点がとても悔やまれます」。今季先発2勝目には、届かなかった。

先制点は、あっけなく、奪われた。先頭のデスパイネに左前打を打たれた2回、四球と犠打で1死二、三塁とピンチを広げ、リチャードに走者一掃の適時二塁打を左翼線へ落とされた。だが、ここから立ち直る。同じく先頭の出塁を許した3回は、2死満塁の大ピンチを迎えながら、巧打者の中村晃を中飛に抑えて踏ん張った。栗山監督は「しっかり我慢しきってくれたのだから、なんとか点を取って勝たせてあげたかった」と、孤立無援だった左腕を思いやった。

2年前の秋、“外れ1位”でオリックスと競合の末、日本ハムが交渉権を獲得。栗山監督が引いた、初めての当たりくじだった。一方、2度抽選に敗れたオリックスが“外れ外れ1位”で指名したのが、今季大ブレークした同じ左腕の宮城だ。社会人NO・1左腕としてプロ入りした河野は「この2年間で、物足りなさというか、自分の力不足を実感している。体力も、技術的なところも、全然足りていない」。同世代のライバルたちの活躍が、向上心を刺激する。

チームは3連勝ならず、4試合ぶりの黒星。最下位での足踏みが、続く。【中島宙恵】