目指す50盗塁! プロ1年目で盗塁王に輝いた阪神中野拓夢内野手(25)が23日、甲子園で秋季練習に参加し、来季はより積極的に盗塁を仕掛けることを誓った。「企図数がまだ少ないと思う。来年は企図数を増やしながらも、盗塁の数を50盗塁を目標に、来年は一気に上げていきたいと思います」。今季は30盗塁を決めて失敗はわずか2。16年山田哲人(ヤクルト)に並ぶ93・8%の史上最高成功率を誇ったが、守りに入らず来季はもっと走りまくるつもりだ。今季32回だった盗塁企図は「60回ぐらいはしたい」と倍増させ、2年連続タイトルを目指す。

アマチュア時代は「走る選手」ではなかったという。眠っていた素質に光を当ててくれたのが、筒井壮外野守備兼分析担当コーチ(47)だった。「こんだけ帰塁がうまいのに、このリードやったらもったいないな」。代走や代打要員が多かった今季序盤。高い帰塁能力と反射神経を見抜き、リードを1歩分、80センチ以上も広げさせた。「非常にいいアドバイスを筒井コーチにもらった。いいスタートが切れるようになった理由は、帰塁をあまり考えないようになったところなんじゃないかなと思っています」。キャンプやオープン戦は失敗続きだったが、その「1歩」で成功体験を積み重ね、自信に変えていった。

マークが厳しくなるであろう来季へ、対策も考えている。「今シーズンはスタートを意識することができたので。中間走であったり、スライディングの強さであったり、あとは細かいところになってくると思う」。相手を上回る技術を身につけ、包囲網をかいくぐる。【磯綾乃】

▽阪神矢野監督(今季12球団トップの114盗塁について)「コーチがみんなで背中を押してというところ。拓夢(中野)は大学、社会人でもほとんど走ってない。その選手を、ある意味、盗塁王にできたのは、俺らにとっても自信になる」