JR東日本東北(宮城・仙台市)が、NTT西日本(大阪市)に7-6で逆転サヨナラ勝ち。2-6で迎えた9回に打者9人の猛攻。最後は、大卒ルーキー金沢龍介外野手(23)のサヨナラ犠飛で4点差をひっくり返した。11月28日開幕戦で前年覇者ホンダ(埼玉・狭山市)を破った勢いで一気に8強を決めた。

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2人のルーキーが逆転勝利の立役者となった。2-6で迎えた9回無死満塁。4番薗部優也(29)に代わり高卒ルーキー大西蓮外野手(19)が代打で出場。東京ドーム初打席の4球目。142キロの直球をピッチャー返し。打球は中堅へと抜ける起死回生の適時打となり、球場の空気を一変させた。波に乗ったチームは2本の適時打と押し出しで3点を返し、6-6と試合を振り出しに戻した。

なおも1死満塁。この日2安打の大卒ルーキー金沢が左打席に立った。「追い込まれてからは切り替えて、犠牲フライでもいい、三振だけはなしで必死に食らいついていこうと思いました」。1ボール2ストライクの4球目。139キロの外角へ落ちる球を左翼へ高々と打ち上げサヨナラ犠飛。金沢は「叫びすぎて酸欠で倒れそうでした。すごくうれしいです」と勝利をかみしめた。

西村亮監督(47)の采配が的中した。「思い切って“無”でいける代打で行った方がいいと思いました」。9回、先頭打者に東京ドーム初出場の若林蒼太外野手(25)を代打で送り、中前安打で出塁。続く2、3番が四球。思い切って4、5番にも代打攻勢をかけ、2連続適時打を生んだ。指揮官は3回戦に向け「思い切ってやるだけですね。最終回の勢いを初回から出せればいいかなと思います」と次戦も無の境地で挑む。

初戦の11安打に続き、この日も14安打。打線好調のチームは過去最高成績のベスト4まであとひとつとなった。金沢は「僕は新人なのでとにかくフレッシュに頑張っていきたい。目の前の1球、1打席に集中して次も勝ちたいと思います」と気を引き締めた。震災から10年。節目の年に11年のベスト4を超える。【濱本神威】