チーム最年長の阪神糸井嘉男外野手(40)による日刊スポーツのコラム「超人の流儀」。

今年の第1回は、トレーニングの考え方や取り組みの変化、新たに始めたファースト守備の挑戦の真相、近大の後輩、佐藤輝明内野手(22)への思い、プロ19年目の今季にかける覚悟など、胸の内を熱く語っていただきました。【聞き手=桝井聡、古財稜明】

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読者のみなさま、糸井嘉男です。ここ近年は毎年最後のキャンプになるかなと考えるし、やり残すことはないようにしてます。今は若手とずっと一緒のメニューをやってますけど、すごい新鮮で、僕自身もルーキーになったような感じ。そう思えば体も動くし、そう思ってずっと練習してます。野手に転向した06年のレギュラーじゃない時に似てる気がする。初日から実戦に出られるような体作りをオフにやってきたつもりですし、それができているのが自信につながってます。

このオフは例年に比べても、重りをあまり使わず柔軟性に特化したトレーニングをしてきました。重りを上げると疲れるし、毎日筋肉痛になるし…というのは冗談で。打撃もそうですけど、いろいろ変えなあかんと。今まで自分が考えていたことを破壊して、また新しいことに取り組んでもいいと。逆に言ったらそれが進化につながると思ってるので。トレーニングもほんまに一気に変えました。

今年はファーストミットを作ってもらって、一塁の守備にも取り組んでます。グッチ(原口)がやってたことで、捕手なのにシーズン中もサードでノックとか受けていて、「なんでサードしてんの?」と。僕らは150キロ、抑えなら160キロ近い球をいきなり見ないといけない。そういう面でサードとかで近距離の速い打球を見て、打撃にも生かしてると。「あーそーなんや!」と思いましたね。動き的にも腰を落として足を使いますし。生きることはめちゃめちゃあります。

僕らも控えでやりたくないという気持ちもありますが、控えは控えで一発勝負の難しさもある。そこで成功するために原口は見えないところで努力をしてました。グッチには新しい野球観、ほんまに去年勉強させてもらいました。なぜ三塁じゃなくて一塁か? 三塁だったら手が痛いから、ファーストミットにしただけ(笑い)。開幕ファースト狙いますよ。“ジェフリー糸井”にしよかな。ハッハッハッ。

テル(佐藤輝)は12球団の野手みんなが刺激もらってるんちゃうかな。みんなの持ってないものを持ってる。場外弾もそうやし、動き1つにしてもすごい。僕は評論家ちゃいますけど、テルは今年は打率3割2分、38本、102打点かな。やっぱり球界を代表するような選手になってもらいたい。それくらいのモノを持ってる。そのために正尚(オリックス吉田正)、ギータ(ソフトバンク柳田)もそうですけど、トップの選手とやることはすごく大事なことだと思います。

藤井さん(1・2軍巡回打撃コーチ)がこの前報道陣に「糸井は30発打てるんじゃないかな」と言ってくださった。僕もそういう自分への期待はある、全然否定的なことはない。30発打てると思う。1000試合出たら。ちゃうちゃう、1000打席立てば(笑い)

この前はみんなと違うことやろかなと思って矢野監督を「予祝」で胴上げしました。ほんまは宜野座で練習休んでパレードの練習しようと…、ウソです(笑い)。キャンプイン前日に退任を発表されましたけど、やっぱりいろいろ考えての発言だと思う。僕らが本当に胴上げを現実にする。そのために今年は戦います。

ほんまに去年の話をしたくないくらい、すごい悔しかったですし、いいところまでいって負けてしまった。今年は絶対やり返す。やり返して、監督を男の花道じゃないですけど、それをすると心に誓って、シーズンに臨みます!(阪神タイガース外野手)

 

○…糸井は26日の中日とのオープン戦(北谷)に出場する予定だ。この日はフリー打撃で86スイング中で柵越え15本。個人練習ではおかわりで藤井康1・2軍巡回打撃コーチとマンツーマンで約1時間にわたってロングティーを実施した。今季は出場全5試合でヒットを記録しており、超人ぶりは健在だ。