阪神藤浪晋太郎投手(27)が、ヤクルトとのオープン戦(浦添)でキャンプ最後の実戦に臨み、2回1安打無失点で開幕ローテ入りへ大前進した。課題の制球面も安定し、無四球で2三振を奪った。カーブを交えるなど効果的な緩急も光らせ、昨季の日本一打線を封じ込めた。矢野監督は「勝てる球を投げていた」と高評価し、先発6番手争いで一気にリードを奪った形。沖縄・宜野座キャンプは28日に打ち上げる。

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「NEW藤浪」は4番村上への初球に114キロカーブを選んだ。1回2死二塁。外角から曲げて、難なく見逃しストライクを奪った。2球目は一転、重みのある外寄り155キロ直球をチョイス。押し込んで二ゴロを奪うと、小さくうなずきながらベンチへ歩き出した。

昨季の日本一チームに緩急という新たな引き出しを印象づけて、2回無失点。無四球だった。「ほとんど意図のあるアウトを取れた。ある程度は全球種を操れた。圧倒とまではいかないですけど、支配的な投球はできたんじゃないかなと思います」。言葉の端々から手応えがあふれ出た。

キャンプ最終登板はメンタルも試された。先発予定だったガンケルが腰の張りで登板を回避。急きょスターターへの変更が決まると、今度はヤクルトが山田、中村のスタメン出場を取りやめた。そんな試合前のバタバタにも動じなかったから頼もしい。最速157キロの直球に変化球を効かせて、的を絞らせなかった。

ツバメ打線は開幕カードの相手でもある。それでも邪念は皆無に等しかった。「そんなことを考えている余裕はなかった。自分の結果を出すことに必死なので」。投球テンポは今まで以上にスピーディー。「それは無意識下ですね。悩むところがなく、良い感じで投げられている証拠だと思います」と納得の28球だ。

キャンプ実戦4試合を計10回2失点でフィニッシュ。1月の合同自主トレで巨人菅野から教わった軸足の使い方も、沖縄で確実にものにしつつある。「やりたいことができた。非常にいいキャンプだった」。ドラフト3位桐敷らとの開幕ローテ6番手争いから一気に抜け出した感もある。

矢野監督は試合後、今季に懸ける大器について「勝てる球を投げていた。相手に嫌なボールを投げられていた」と高評価。開幕ローテ入りに向けて「もちろん入ってもらわないと困る」と表現した。完全復活へ、着実に階段を上り続けている。【佐井陽介】

▼阪神藤浪のWHIPは新人だった13年が1・18で最もいい。規定投球回に到達していた14~16年も平均的な数字を残していたが、不振に陥った17年以降は、一般的に良くないとされる1・40を超えている。今季は紅白戦を含めた実戦4試合で1・00と非常にいい滑り出しを見せており、このまま安定感のある投球を続けたいところだ。

◆WHIP 野球をデータに基づき、客観的に分析する「セイバーメトリクス」の指標の1つで、投手が1イニングに何人走者を許したかを示す。(被安打+与四球)÷投球回で算出され、メジャーリーグでは公式記録として扱われている。投手の安定感の目安。数字が低いほどいい。WHIPは平均が1・20~1・30で、1・10以下で一流、1・00以下で超一流とされる。

 

▽阪神坂本(先発マスクで3回に先制の右前適時打)「(二塁走者の)江越さんが走ってくれて、あっちに打った方がランナーが前に進みやすいというのもありましたし、それがヒットになったので良かった」

▽阪神金村投手コーチ(26日の中日戦で右手の豆がつぶれた西勇について)「大したことはない。ローテだったら1週間で投げられるくらいの感じです」