今季唯一の東京ドーム開催を「北海道色」に染めた。日本ハム伊藤大海投手(24)が、7回5安打無失点で自身3連勝を飾った。前回登板までの2段モーションから、投球フォームをモデルチェンジし、テンポよくアウトを積み重ねた。始球式にはスピードスケートの幕別町出身・高木美帆が登場。試合後は札幌市出身の今川と初めてそろってヒーローインタビューを受けた。 

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同じ北海道出身の金メダリストから“リレー”したマウンドで、伊藤が「0」を並べた。7回5安打無失点で自身3連勝。「ここ何登板かピリッとした投球ができていなかったので、0を続けることができてよかった」。北京五輪金メダリスト・高木美帆の始球式で始まった一戦で、東京五輪の金メダリストが主役になった。

前回登板までの2段モーションから、投球フォームをモデルチェンジした。左足を上げてそのまま踏み出す通常の動作。「ちょっと一回初心に戻ろうかなと思って。いろんな無駄な動作が多くなってきていたので少しでもシンプルに」。きっかけは2日前に行った交流戦対策の打撃練習だった。軽く投げてくる武田勝投手コーチのボールを打席で空振りした。「こんなに力がいらないんだ、と」。気づきをもたらしてくれた。

力ではなく制球を重視し、すべての球種をていねいに操った。4回2死二、三塁のピンチは、バレラを138キロ低めスプリットで二ゴロに仕留め、続く5回2死一、二塁では、来田をカットボールで追い込み、最後は内角に145キロ直球を投げ込んで見逃し三振。7回2死、小田を打ち取ったこの日最後の109球目は、107キロのスローカーブだ。3ボールになればいったんプレートを外して間合いを取るなど、工夫も凝らした。「すごく収穫の多い投球になった。結果以上に得るものが大きかった」と手応えを口にした。

一緒にヒーローインタビューを受けたのは、同期で札幌市出身の今川。「入団した時から、ずっと(一緒にやりたいと)言っていた。昨日も最後(の打者となった今川の)すごく悔しそうな姿を映像で見ていたので、何とか勝ちにつなげられたらなと思った」。今季唯一の東京ドーム開催は、試合前から試合後まで、道産子がスタンドを盛り上げた。【本間翼】

▽日本ハム新庄監督(伊藤の投球に)「今日(本塁打や適時打が)パンパンと出たのは伊藤君のテンポのよさ。あれが見えないところの勝利」

★日本ハム伊藤直前2試合VTR

◆土下座 16日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発。5回5安打3失点(自責2)で、今季初勝利を挙げた。5回2死一塁では、レアードを追い込み、外角低めへ渾身(こんしん)の148キロ直球を投げ込んだ。判定はボール。「ヨッシャー」と声を上げていた伊藤は、両膝から崩れ落ち“土下座”のようなポーズに。球審に注意を受け謝罪。気を取り直して遊ゴロに打ち取ると、再び帽子を取って謝罪した。「怒られちゃいました。判定に文句があったわけではなく、ガッツポーズしちゃったので恥ずかしさが勝っただけ。2回謝りました」と反省した。

◆あおむけ 22日のソフトバンク戦(札幌ドーム)は中4日の登板で、6回を今季ワースト10安打も3失点の粘投を見せ、自身2連勝を飾った。5回2死一塁では、強襲の打球に反応。左足がもつれた影響であおむけに倒れ込んだが、すぐに起き上がり、素早い動作で投ゴロを完成させた。前回登板では、マウンド付近で見せた土下座のようなポーズが話題になり「2戦連続でグラウンドに、はいつくばってしまった。ファンの皆さんを楽しませつつ、一緒に勝つ喜びを分かち合いたい」と話した。

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