大谷翔平もビックリの大車輪だ! 阪神先発のジョー・ガンケル投手(30)が、投打の大活躍で5位DeNAとの差を2に縮めた。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で、打っては決勝打を含む猛打賞、投げては7回途中1失点で2勝目を挙げた。今季初の先発全員安打&最多17安打の快勝を導き、元阪神の新庄BIGBOSSが甲子園に凱旋(がいせん)する3日からの日本ハム3連戦で一気にテール脱出だ。

    ◇    ◇    ◇  

ガンケルが自らのバットで打線に火を付けた。0-0で進み、この回もまた無得点かと思われた4回2死二塁。西武隅田の145キロを完璧に捉えた打球が、中堅愛斗の頭上を越えた。「何とかチームメートをかえそうと、思いっきり振りにいきました」。来日3年目で初打点となる先制の適時二塁打で点火してもらった打線は、この回さらに2点を追加。それまで9安打を放ちながら拙攻の連続で決定力不足だった打線に“喝”を入れる一撃で、試合の流れをガラリと変えた。

恐怖の9番は止まらない。3点リードの6回にはボーの変化球を中前へ。2回の第1打席でも右前打を放ち、来日初の3安打だ。阪神投手の猛打賞は、16年8月25日DeNA戦でメッセンジャーが3安打して以来6年ぶりで、交流戦では球団史上初。個人では高校以来の3安打だという。自身3試合連続安打で、打率を3割5分7厘まで上げた。

「ピッチャーがヒットを打って出塁するときは、チームに流れをもたらすことができる。攻撃面でも貢献できて良かった」

投手へ本格的に取り組んだのは高校からで、もともとは野手志望だった。「最初は外野手がやりたかったので断っていたけど、(高校の)コーチに投げさせられて」と苦笑い。だが、次第に投手としての能力を開花させ、「年を重ねるにつれて、バッティングよりピッチングの方が楽しくなったんだ。コーチには感謝してるよ」。投手としてプロの道に進んだが、持ち前の打撃技術は健在だった。

本業の投手では7回途中5安打1失点の快投。4月24日の敵地ヤクルト戦以来、約1カ月ぶりの2勝目を挙げ、パ・リーグ相手に3度目の登板で交流戦初勝利をつかんだ。お立ち台では打撃については「あまり期待しないでください」と笑いを誘った。それでも「次の登板もしっかり投げて、バッティングでもいい結果が出れば」と、次戦でも海の向こうの大谷もビックリな二刀流の活躍を誓った。

今季初の先発全員安打で今季最多の17安打をけん引。チームは2カード連続の勝ち越しで、5位DeNAに2ゲーム差まで最接近した。3日からは甲子園で新庄BIGBOSS軍団を迎え撃つ。最高の弾みがついた。【古財稜明】

▼投手のガンケルが3安打。投手の猛打賞は今年3月26日森下(広島)以来だが、阪神では16年8月25日メッセンジャー以来6年ぶり。ガンケルの2本目は先制打で、投手がV打を含む猛打賞は08年8月17日吉見(横浜)以来となり、阪神では90年6月16日キーオが巨人戦で記録して以来32年ぶり。また交流戦で投手の猛打賞は10年5月15日涌井(西武)以来2人目でセ・リーグの投手は初めて。