ヤクルト小川泰弘投手(32)がマウンドでも打席でも主役を演じ、41年ぶりの快挙を達成した。

0-0の投手戦で5回先頭の打席。西武高橋の146キロの高め直球を振り抜いた。風に乗って、左翼席ギリギリに飛び込む16年以来6年ぶり3本目となる1発。「しっかりたたけたなという感覚があったので、もしかするととは思いましたけど。まさかという気持ちが強かった」。交流戦でセ・リーグの投手の本塁打は、初めてだった。

投げては西武打線を翻弄(ほんろう)。8回3安打無失点で、9回にスイッチしたマクガフが締め、1-0の勝利を収めた。投手の決勝本塁打で1-0の勝利は、81年広島金田留広以来41年ぶりの珍事。高校通算11本塁打で、打撃練習は続けていた。お立ち台では「素振りをしてきたかいがありました」とマウンドでは味わえない感触を喜んだ。

グラブの中で左手に「オーラリング」をはめる。体温や心拍数から体調や睡眠を数値化するもので「数字で可視化できるので参考にしています」と、今年から活用する。万全を期す選手会長の投打の活躍でチームは2連勝。セ・リーグと交流戦ともに、首位をキープした。【栗田成芳】

 

▽ヤクルト高津監督(8回終わって95球の小川に代えマクガフを起用)「バッティングはさておき、投げる方に関しては、もう文句のつけようがない。ピッチングに関しては満点に近いんじゃないでしょうか。(交代は)全く迷いが実はなく代えようと即決しました」

 

▼小川が5回に先制ソロを放ちながら8回を無失点に抑え1-0で勝利。小川の本塁打は15年8月5日巨人戦、16年8月17日DeNA戦に次いで自身3本目。自らの本塁打で1-0勝利は81年8月16日金田留(広島)以来で、ヤクルトでは79年9月2日松岡以来。小川のように完封しなかったのは55年4月26日江田以来、67年ぶり2度目。

▼交流戦で投手の本塁打はこれまで7本あるが、セ・リーグ投手が本塁打を打ったのは小川が初めて。

▽ヤクルト丸山和(初スタメンで3回に中前へプロ初安打)「素直にうれしくて、ホッとしています。(前橋育英)高校の先輩の高橋さんから打てたのもなにか縁を感じます」