巨人のラスボスが威風堂々と新記録を樹立した。「日本生命セ・パ交流戦」でロッテと対戦。大勢投手(22)が9回を3者凡退に抑え、90年与田剛(中日)の68試合を上回り、新人史上最速の60試合で20セーブに到達。

球団記録も、93年石毛博史と13年西村健太朗の72試合目を12試合も塗り替えた。漫画「鬼滅の刃」で人気のキャラクター煉獄杏寿郎のテーマソングを登場曲に使用する守護神は、ファンにも仲間にも愛されて頼もしい、救援陣の「柱」を目指していく。

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大勢が、勢いよくマウンドへ駆け上がった。1点リードの9回。今季東京ドーム最多の4万444人からそそがれる拍手。荘厳な登場曲が、ブルペンからグラウンドに向かうベンチ裏にまで届いた。「奮い立たされます」。出番が来た。

4番、5番と6球で2死。最後はロッテ安田の直球狙いを感じ取った上で、直球勝負。心を燃やした。1-2から外角低めへ154キロ直球を突き刺し、新人&球団最速で20セーブに到達。「真っすぐで三振を取れたのはよかった。自分はゴロアウトとか、守ってもらう投手。野手のみなさんに守っていただき、20セーブ挙げられた」と感謝した。

ラスボス感を醸し出す登場曲は、アニメ「鬼滅の刃」の煉獄杏寿郎のテーマ曲。「煉獄さんが好きなんですよ」と、東京ドームの音響チームに自ら依頼。4月から流れ、5月からはメインビジョンに映される特別演出も一新された。

常々「ファンを魅了できる選手になりたい」と口にしてきた。登場曲も大きな役割を担う。現状では同キャラの技名でもある「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」バージョンだが、弐ノ型、参ノ型…と変化させていく計画もある。「ストーリー性を出せたら。それでファンの方も少しでも楽しんでくれれば」。圧倒的な実力とエンタメ性でファンの心を奪う。求める理想の姿だ。

一筋縄でいくほど甘くないとも分かっている。5月8日ヤクルト戦ではセーブ失敗でプロ初黒星。「なんで失敗してしまったのか、なんで打たれたか。ダメなときに向き合ってこられたのが結果につながっている」と毎試合映像を見返してフォームを修正し、その後から9試合連続無失点。登場曲のアドバイスも受けたパーソナルトレーナーの萩原淳由氏と二人三脚で、頭と体を鍛え抜いてきた。

理想に着実に近づいている。3日発表のオールスターのファン投票の中間発表では、セ・リーグの抑え部門で断トツ。「もっともっと、ワクワクさせるような投手になっていきたい」。極上のエンタメと勝利の喜びを、ファンに届けていく。【小早川宗一郎】

◆煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう) 大人気漫画「鬼滅の刃」の登場人物で、鬼殺隊の最高位“柱”の1人で「炎柱」。映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」では主人公の竈門炭治郎らとともに鬼と戦った。炎のように熱い情熱と正義感、使命感を持ちながら、明るくて豪快な好人物。その生きざまは竈門炭治郎に影響を与えただけでなく、多くの「鬼滅の刃ファン」を魅了し感動させた。

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