元F1ドライバーのアイルトン・セナと、木村拓哉演じる「ロングバケーション」の主役・瀬名が由来の西武柘植世那捕手(25)が、たくみな“操縦術”で好リードした。スタメンマスクをかぶり左腕・エンスとのバッテリー。「球が強いのでドンドン押していけるピッチャー。特徴を生かせた」と150キロを超える直球に、変化球は3種類のカットボールを使い分ける。2回のソロ弾1発にとどめ、継投に入ってもゼロ行進を演出した。

今カード3連敗を阻止する白星。12日以来のスタメンでも、実戦感覚はベンチで植え付けてきた。出場がなくても、配球を頭の中で想定し続けた。「イメージだけは常に持つようにしている」。ポジション柄、試合間隔が空いても、ただの“バケーション”にはしなかった。この試合でスタメン時は、引き分けを挟んで4連勝。正捕手森、ルーキー古賀とライバルがひしめく中で、主役級の存在感を示した。

打席に入れば、スピードを生かし訪れたチャンスをものにした。5回先頭の呉念庭が出塁。すると次打者・愛斗の打席でバスターエンドランを仕掛け一、三塁で打席が回ってきた。初回は2死満塁、3回は1死一、二塁でいずれも空振り三振。「ふがいない打席が続いたので、なんとかチームのために打点を取る気持ちだった」。詰まらせながら、二塁の頭を越えて貴重な1点をもたらした。

負ければ首位陥落の可能性があった一戦を制し、リーグ一番乗りの60勝。「勝つことがやはり一番キャッチャーは大事。とにかく勝つことだけを、出たときには考えてます」。残り29試合。どんな立ち位置だろうが、全力で走り抜ける覚悟だ。【栗田成芳】

○…左腕・エンスがホームで無類の強さを発揮した。ソロ弾1発にとどめ、6回3安打1失点と好投し8勝目を挙げた。うち本拠地・ベルーナドームで7勝1敗、防御率1・68と好相性を誇る。食堂で出るカレーが好物で、試合前にパワーチャージ。「受けてくれていた柘植がすごくいいリードで守ってくれていたので、それも助けになりました」と相方に感謝した。

▽西武辻監督(攻守両面で貢献した柘植に)「必死だったと思う。常時出ている選手じゃないから難しいのは分かる。それでも結果を出していかなければならない世界。そういう気持ちでタイムリーを打ったと思う」

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