楽しみな選手は? そら前川よ。阪神岡田彰布監督(64)が10月31日、来季高卒2年目の前川右京外野手(19)を「強化指定」でブレークに導く。甲子園での秋季練習を打ち上げ、2日から高知・安芸で行われる秋季キャンプのメンバーを発表。指揮官が高校時代から注目していたという若きスラッガーの打力を対面前から絶賛。攻守ともにフルメニューを課し、飛躍に向けた土台作りに取り組む。

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岡田監督が会ったことも話したこともない19歳を褒めちぎった。球団が秋季キャンプの参加メンバーを発表。指揮官は「フェニックス(リーグ)から帰って来る若い選手は楽しみ」と話した上で、前川の話題に及ぶと「いや、そらもうドラフトで取った時から『コイツはええなあ』思っとったよ。智弁(学園)の時からな、おーん」とうなずいた。

1年目の今季は上半身のコンディション不良の影響で長期離脱し、ウエスタン・リーグは21試合の出場にとどまった。ただ、3本塁打を放つなど持ち前のパワーを発揮した。魅力について指揮官は「バット振れることやろ、結局な」ときっぱり。プロ入り後も映像などでチェックしていたといい、「まだ1年目の選手やからな。そういうレベルではもっと上の選手に見えるしなあ」と絶賛した。

最終日を迎えたフェニックスリーグ巨人戦(ひむか)に、前川は「5番DH」で出場。8回にバックスクリーン右へ豪快に放り込む同点2号ソロを放つなど、マルチ安打で締めくくった。16試合に出場し、打率2割9分5厘で、ともにチームトップの2本塁打、11打点と存在感を示した。同リーグでは故障を考慮して打撃のみに専念。秋季キャンプの前川の練習方針について、岡田監督は「練習では守備はやらすよ。普通のメニューでできると思うけどな」と、フルメニューでの参加を示唆した。今年3月のオープン戦で1軍デビューを果たし、初出場の巨人戦でマルチ安打を記録。逸材を強化指定で鍛え、大山、佐藤輝に続く主軸候補に成長させる考えだ。

甲子園で計7日間行われた秋季練習もこの日で打ち上げ。2部練習では二遊間の併殺特守を行うなど守備の基礎練習に多くの時間を割いた。岡田監督は「思っている以上に動けるし、いろんな新しいことを吸収するのも早いし。これからやけどな」と総括し、「俺も(現役時代に)甲子園でこんなに練習したことあんまりないからな。やっぱり雰囲気ちゃうなあ」と感慨深げだった。V奪取へ向けた鍛錬の秋は、2日から高知に場所を移す。これからが本番だ。【古財稜明】

◆前川右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県出身。外野手。智弁学園では1年夏、3年春夏と甲子園に出場し、3年夏は準優勝。高校通算37本塁打。21年ドラフト4位で阪神入り。今季オープン戦では、球団高卒で掛布以来48年ぶりのマルチ安打デビュー。6月から約3カ月上半身のコンディション不良で離脱。ウエスタン・リーグでは21試合に出場し、60打数15安打、3本塁打、7打点、打率2割5分。楽天とのファーム日本選手権では、右翼席へ1発を放った。176センチ、88キロ。左投げ左打ち。

○…岡田監督は日本シリーズの勝敗予想を的中させていた!? 第7戦までもつれた決戦を「見てたよ」といい「今年は4勝2敗でオリックス勝つやろうな思ってたけどな。まあ、その通りな」と話した。勝因については「ピッチャーよ、やっぱりな。山本がケガで1回しか投げられなかったけど、他のピッチャーもいいもんな」と投手力の重要性を強調。また、杉本が試合前の円陣で、岡田監督がオリックスの監督時代に生み出した「アレ(=優勝)」を用いたことについては「なんかあるんか? オリックスから」と笑顔だった。

○…国内FA権を取得している岩貞は熟考中であることを強調した。権利を行使するための申請期間がスタート。甲子園のクラブハウスを訪れた左腕は「特に進展とか変わったこともない」と説明した。同僚岩崎のように宣言残留という選択肢もあるが、「そこもまだ全然考えてなくて、2、3日で考えがまとまれば、そういう報告もあるでしょうし」と現状を語った。

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