21日に、来季のパ・リーグの日程が発表された。日本ハムが他球場に先行して3月30日(木)に新球場の「エスコンフィールド北海道」で開幕戦(対楽天戦)を行い、セ・リーグを含めた他の5カードは同31日(金)に開幕する。新球場の門出を祝う意味で、特別に1日前にずらしたという。この日程自体は、8月のプロ野球実行委員会で大枠が承認されていた。雨天中止を除き、プロ野球開幕日に1カードだけ開催するのは1952年(昭27)の阪神-名古屋戦(甲子園)以来71年ぶりという。

…と聞いて、ひとつ疑問がわいた。52年はなぜ1試合だけ先行したのだろう? ちょっと気になった。

そこで、52年の開幕からの3試合を見てみると、開幕戦は3月20日(木)に甲子園で阪神-名古屋戦。21日(金)に同カードのダブルヘッダー。セ・リーグの残りのカードは、巨人-国鉄、広島-松竹が21日に開幕(当時は7球団制のため、大洋は開幕週はお休み)。確かに阪神戦だけが1日早く始まっている。

ちなみにパ・リーグは、21日に南海-大映、西鉄-近鉄で開幕しているが、阪急-毎日戦だけ22日(土)に開幕し、23日(日)に毎日戦ダブルヘッダーを行っている(7球団制のため東急は開幕週はお休み)。

つまり、阪神-名古屋戦が1日早いだけでなく、阪急-毎日戦も1日遅く開幕しているのだ。これはどういうことか?

当時の記事にヒントがないか日刊スポーツ紙面をあたって調べてみた。すると、「これは」という記事が見つかった。52年2月13日付に、プロ野球実行委員会で決定した事項が記事になっている。両リーグの日程について各球団が申し合わせたいくつかの項目の中に「大阪(地区)においては甲子園と西宮で同日に試合を行わないこととする(後略)」とある。

阪神の本拠地・甲子園球場と阪急(現オリックス)の本拠地・西宮球場(当時。現在は商業施設)は約3キロしか離れていない。52年はプロ野球でフランチャイズ制が導入された年。リーグが違うとはいえ、地域が重なる両球団に、観客動員などでできるだけ影響が出ないよう配慮したと思われる取り決めだ。実際、同年に両球場での同日開催はない。

となると、この変則的な日程は、甲子園と西宮での同日開催を避けるため阪神戦を先に、阪急戦を遅らせて開幕することで調整したのではないか? と推察される。この2カード以外は、いずれも3日間の連戦(金曜~日曜)で設定されている(セは日曜日にダブルヘッダーで計4試合)。木~日曜日の4日間で重ならないように各3試合をこなすため、阪神、阪急両軍ともダブルヘッダーを入れて対応していることも裏付けになると考える。

おそらく、この見方で間違いないと思う。ただ、確証はない。当時の記事に、日程前倒しの理由を説明したものは見つけられなかった。NPBにも問い合わせてみたが、詳しい資料が残っておらず、やはり断言はできないということだった。

すっきりとはしないが、当時の担当者が苦心して日程を組み上げたのだと思うと、ちょっと感慨深い。ちなみにこの年、阪急は開幕3連敗スタートで5位、阪神は同2勝1敗で2位になっている。新球場での1日早い開幕で、プロ野球ファンの注目が集まる来季の日本ハムは、どうなるだろうか?【遊軍・高垣誠】