阪神村上頌樹投手(25)が、唇をギュッとかんだ。

両軍無得点の5回表。DeNA無死一、二塁から「8番捕手」山本が犠打を敢行してきた。次打者が投手石田にもかかわらず、だ。

「投手が打者って感覚にはなっていない。普通に、野手が(打席に)立っていると思って投げたので」

1死二、三塁。心に隙はなかったが、石田に149キロ直球をはじき返された。中前2点適時打で先制点を献上。「打たれたのは仕方ないけど、そういう場面を作ってしまったのが悪い、そこだけ」と表情にも言葉にも悔しさがにじみ出た。

6回2死一、三塁では7番京田に147キロを捉えられ、中前適時打を浴びた。岡田監督は「ピッチャーに7番やろ。下位打線で、バッと力入れた時に高め浮いたりするなあ」と勝負どころでの制球を指摘。「いつも普通に投げてたら低めにいってるやつをなあ。2本ともタイムリーは高め、投げた瞬間やったもんなあ」とぼやいた。

DeNA戦は初先発。警戒していた同学年の4番牧は無安打に封じながら、伏兵に痛打された。ただ、6回7安打3失点にまとめ、雷雨により開始が39分遅れたゲームでも集中力は切れていなかった。チームは今季10度目の0封負けで、そのうち村上が先発時は4度ある。打線の援護にも恵まれず、5敗目だ。

これで前半戦ラスト登板を終えた。昨季まで0勝右腕が6勝5敗。「そこまで貯金をつくれなかったので、そこは申し訳ないですし、またやり直したい」。自己評価は決して高くないが、一時は「火曜日の男」を任され、虎の先発ローテの柱となった。防御率はセ・リーグ3位の1・97。プロ3年目。ここから真価を問われると分かっている。ファン投票「セ先発部門」1位で初選出された球宴を経て、勝負の後半戦に向かう。【中野椋】

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