侍ジャパンの新監督に、元中日、巨人内野手で、現在はU12日本代表監督を務める井端弘和氏(48)が最有力となったことが24日、分かった。前任の栗山英樹監督(62)は3月のWBCで優勝し、5月いっぱいで任期満了。日本野球機構(NPB)による後任選びは難航したが、ようやく決着を迎える。新監督の任期は従来であれば26年春の次回WBCまで。だが今回、NPBは、ひとまず11月のアジアプロ野球チャンピオンシップを井端氏に託す方針とみられる。

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栗山前監督の後任選びが、ひとまず決着を迎える。名手として鳴らした井端氏は13年の第3回WBCで代表入り。2次ラウンド初戦の台湾戦では9回2死で起死回生の同点打。勝負強い打撃で引っ張り、18打数10安打、打率5割5分6厘でベストナインに輝いた。現役引退後は稲葉監督の下、内野守備・走塁コーチとして21年の東京五輪金メダル獲得を支えた。NPBは侍ジャパン監督の資質に「国際経験」を求めている。選手でも、コーチでも、トップレベルの世界大会を戦った井端氏は条件にかなう。

加えてNPBが求める「指導力」も備える。侍ジャパンだけでなく、巨人、NTT東日本、台湾球団、母校・亜大など幅広くコーチを歴任。昨年からはU12日本代表監督も務め、高校代表や大学代表の指導にもあたった。世代をまたぎ「侍ジャパン」とのつながりは深い。井端氏自身、今夏のU12W杯終了後、指導年代を上げながら、将来的にはトップチームの監督に就く意欲を問われ「そういうのはありかなと思ってます」と答えている。

任期は26年春のWBCまで、とはならないもようだ。後任選びが難航する要因の1つに、長すぎる任期が挙げられる。シーズン中も国内外の視察が求められることから、12球団の監督やコーチの兼任は難しい。評論活動も制約されるため、なり手が限られた。NPBは当初、従来通りに次回WBCまでの3年間を託す人材を探したが、複数の候補に断られた。新監督の初陣となるアジアプロ野球チャンピオンシップの開幕は11月16日に迫る。まずは同大会を託す方針に転換したとみられる。

その後も大会ごとに監督の人選を行うとみられるが、順当にいけば、来秋のプレミア12までは井端氏が指揮する可能性が高い。プレミア12が終われば、26年WBCまで1年あまり。候補の選択肢は増える。状況によって、井端氏がそのまま続けることも十分、考えられる。栗山氏は自身の後任について「次の世代がやるべき」と話す。アジアプロ野球チャンピオンシップの参加資格は24歳以下が中心。監督も選手もフレッシュな顔触れで臨み、最終目標である26年WBCでの世界一連覇へとつなぐ。

 

◆井端弘和(いばた・ひろかず)1975年(昭50)5月12日生まれ、神奈川県出身。堀越では甲子園出場2度。亜大を経て97年ドラフト5位で中日入団。二塁荒木との「アライバ」コンビで活躍し、ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞7度。13年オフに巨人へ移籍し、15年引退。通算1896試合、1912安打、56本塁打、510打点、打率2割8分1厘。13年WBC日本代表。16~18年は巨人で内野守備走塁コーチ。17年からは日本代表でもコーチを担当し、22年からU12日本代表監督。173センチ、73キロ。右投げ右打ち。