楽天が東海大菅生(東京)の最速150キロ右腕、日当直喜投手(18)を3位指名した。TBSの「ドラフト会議2023」で日当が先天性の障害を抱えながら野球に取り組んできたエピソードが紹介された。

耳の形成が不完全で通常よりも耳が小さい状態で生まれる小耳症を抱えてきた。左耳はほとんど聞こえず母直美さんは「すごくショックで抱っこするときも左耳を見えないようにしていた」と振り返った。保育園では左側の髪の毛だけ長くして、耳を隠すようにしたという。

卒園時「大きくなったらプロ野球選手になる」と宣言した日当は、小学校入学前に「髪の毛を短くしたい。野球がやりづらい。耳が見えても大丈夫」と母親に告げ、髪の毛を切り小学校に入った。周囲にばかにされることもあったが悔しさは「ずっと胸にためておこう」と我慢をし続け、ひたすらプロ野球選手の夢に向かった。

中学3年時、母直美さんとともに病院に行き、肋(ろく)軟骨移植により耳の形成を正常に戻す手術を勧められた。それでも半年間野球ができなくなることを聞き、手術はしないことを選択。プロ野球選手になる確率を少しでも増やそうと練習に励んだ。

苦しんだ日々を乗り越えこの日、楽天に指名された。「恩返しをすると決めて、そのスタートラインに立てた。佐々木朗希投手のようなフォークもストレートもすごい投手に憧れている」と話した。

母直美さんは「正直プロ野球選手になれるとは思わなかった。いろいろあったけど周囲に支えられながらここまで来ました。今日という日を迎えられて幸せです」と涙目で語った。