野口、ええやんか-。阪神岡田彰布監督(65)が11日、育成の野口恭佑外野手(23)の打撃技術の高さに興味を示した。

1軍首脳陣が合流して初日の高知・安芸での秋季キャンプ第3クール1日目。若手中心のメンバー構成の中で、背番号121の「リストワーク」が指揮官の目に留まった。長打力が魅力のホープが、天性の「リスト」を武器に、支配下登録へ突き進む。

  ◇  ◇  ◇

熱い日差しが降り注ぐ安芸で、育成野口が快音を鳴らし続けた。午後に実施されたフリー打撃で90スイング中で左方向を中心に3連発が飛び出すなど柵越え19発。持ち前のパワーを発揮し、ひときわ存在感を示した。合流初日でバックネット裏から見守っていた岡田監督は、背番号121の打撃練習に注目していた。

「1人おったなあ。野口だけやなあ、リストワーク使えて、だから遠くに飛ばせるわなあ」

若手中心のキャンプで、指揮官は全体的に「リストワークが弱いよな」と指摘した。「ただ単に強く振ったらええだけじゃないからな。(高卒新人は)金属バットの影響かな」と渋い表情。「極端に言うたら(バットを)ぶつけにいくだけみたいな。だからボールにスピンがかからんわな」。そんな中、豪快な柵越えを連発させていた野口のリストワークに「そんな力入れてないで。自分でつかんだんか知らんけど、できるんよなあ」とうなずいた。

若手野手陣には「今日、トレーニングルームで言うたんや、『リスト鍛えろ』って」と伝えたという。自身の学生時代には「早稲田なんか、風呂の中に石が3つか4つぐらい入れて、こないして(手首を回して)。そんな原始的なことやってたけどな」。また、阪神の新人時代には「折れたバットにひもと重しをつけてこないして(両手で回して)リストを鍛えたわけやんか」と明かした。

「最終的にはリストでスピンをかけなあかんわけやから。インパクトはやっぱりリストワークやからな」

野口本人は「リストはあんまり意識してないです。ドーンって(球を)持って行く感じなので」。岡田監督は訓示で若虎に「アピールしなくていい」と伝えたが、「とにかく1日1日が充実している。自分はいつも通りやって、それで見ててくれたうれしいなと思います」。天性のリストワークを武器に、支配下登録へアピールだ。【古財稜明】

【関連記事】阪神ニュース一覧はこちら―>