西武の西川愛也外野手(24)はグラウンドに出ると、聞こえてくる懐かしさに心が高鳴った。
母校の花咲徳栄(埼玉)の吹奏楽部約60人が、左翼席後方に陣取った。この日、西武応援団とのコラボが行われる。ドームには正午前から練習の音色が響いた。「懐かしいっすね~」。卒業から7年が過ぎた。
練習する後輩たちのところへあいさつに行った。同吹奏楽部のSNSで、10日の自身の25歳の誕生日に「ハッピーバースデー」を演奏してくれた。「その御礼も。みんな、めっちゃ練習してくれてましたね」。
夏の甲子園で優勝した。後輩たちの代が始まった時から、それは過去のものとして割り切っている。「でも、やっぱり応援、すごかったですよ。間違いないです。あれで勝ったといっても過言ではないです」と今でも胸を張る。
恩師の岩井隆監督(54)も「夏の花咲は選手たちはもちろん、やっぱりスタンドも花咲らしいよね。華やか。学校愛、母校愛の強さをいつも感じています」と吹奏楽部やバトン部を中心とした校内の声援にも大きな感謝を寄せる。
この日は西川のために応援歌「サスケ」が用意された。吹奏楽部監督の川口智子教諭によると「野球応援に取り入れられてもう20年以上になります」という同校の伝統曲だ。「いつくらいからだったかな」(硬式野球部・岩井監督)と確かな時期は不明ながら、チーム最強の打者が「サスケ」を背に打席に立つことができる。
西川もサスケに後押しされ、甲子園優勝をつかんだ。その後、日本ハム野村、広島韮沢、ソフトバンク井上らプロに進んだ後輩たちも「サスケ」を使った。
あと1カ月もすれば母校の、そして全国の高校生たちの熱い夏が始まる。野球部員にとって、吹奏楽部はじめスタンドの仲間は大切な存在だ。
「応援の気持ちや思いは絶対に選手たちのパワーになるので。吹奏楽部の皆さんやチアの皆さん、スタンドの皆さんも限られた夏を存分に、出し切ってほしいと思いますね」
だからこそ、後輩たちの前で打席に立ちたい思いは強かっただろう。しかし出番はなかった。「もっと頑張ります」。短い言葉に思いを込めた。【金子真仁】



