頼りになるのは虎の主砲だ。柵越えはなくても、佐藤輝明内野手(26)が技ありの一振りで試合を振りだしに引き戻した。

1点を追う8回2死三塁。中日2番手藤嶋の初球137キロスプリットを振り抜くと、低弾道の打球は三遊間を破ってレフト前に転がった。三走近本が楽々と生還。試合を振り出しに戻した。前日5日の中日戦では8回に劇的逆転3ランを右翼スタンドに突き刺した。前夜同様に、左翼スタンドからの期待を寄せる大声援がこの日も主砲のバットに力を与えた。

「いいところに飛んでくれて良かったです」。今季、40打席以上での初球打率は4割5分8厘。他の球数を圧倒する高打率を刻んでいる。

1点ビハインドの6回1死満塁の場面ではため息に包まれた。中日先発柳が真っ向勝負。ファウルで4球粘ったカウント3-2からの137キロカットボールを詰まらせ遊飛に打ち取られた。ただ、その影響はなかった。「もう切り替えていましたけど」とサラリ。悪いイメージを捨てられる自信が、同点打を呼び寄せた。

藤川監督も同点適時打を決めた佐藤輝に「素晴らしかったですね」とえびす顔。2夜連続での逆転勝利を呼び込んだ主砲に最敬礼だ。

この日の一振りで打点を72に伸ばし、打点2位の後輩森下に10打点差をつけた。リーグトップの28本塁打も2位DeNA牧、森下に12本差。2冠をがっちり固めに入った。初タイトルへの歩みはさらに進めた。前夜に引き続き8回にドラマを作った“8回の男”は「たまたまっすよ」とあくまでも謙虚だ。ロードでの9連戦を頭から2連勝。「おっきいんじゃないですかね。今日もすごい大きい勝ちだと思いますし、また明日ですね」。球団創設90周年の節目に4番を守る男が、V奪回へのカウントダウンを加速させる。【伊東大介】

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