生まれ故郷のホープになる! 阪神門別啓人投手(21)が19日、330万円増の1200万円で来季契約を更改した。3年目で初勝利を挙げた未来のエース筆頭候補。だが通算2勝にとどまってリーグ優勝の輪に加われず、来季こその思いは強い。出身地の北海道日高町を舞台にしたTBS系ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」が話題を呼ぶ中、逆襲を描く同作のシナリオのように、自身も町の“希望”になる意気込みだ。

  ◇  ◇  ◇

サラブレッドがいななくように、門別の言葉は力強かった。開幕ローテ入りへの決意を聞かれた時だ。

「絶対に入らないといけないし、目指すところはそこじゃなくて、1年間守り切ること。入って、守るための練習をしていく」。

開幕ローテ入りした3年目は4月6日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初勝利。飛躍を遂げるシーズンになる予感が漂ったが、8度の先発で2勝にとどまり、リーグ優勝の輪には加われなかった。「すごく情けない、悔しい1年になった。2勝したと言っても、自分で完全に投げて勝ったわけじゃない。もっともっとやることはたくさんある」と厳しい自己評価を並べた。

高知・安芸での秋季キャンプでは、チーム最多の1115球と投げまくった。藤川監督は配球など、勝つための方策を突き詰めるよう助言。若手では頭一つ抜けた存在と認められている。来年こそ持ち得た能力を開花させる1年にしたい。

地元の期待も背負う。「門別」と聞けば、野球より競馬関係者が反応するかもしれない。競走馬の生産で有名な北海道・日高町出身。06年に合併した旧門別町で生まれ育った「門別町の門別」は、競走馬とともに、町の希望的存在になっている。昨年には後援会が発足。登板日には町民がテレビの前に寄り合って息をのんでいる。

ただ、日高の生産牧場は後継者不足などに苦しんでいる。俳優の妻夫木聡主演で現在放送中の話題のドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」では、厳しい日高の生産牧場の現状が描かれている。ドラマ前半では日高で生まれた競走馬「ロイヤルホープ」が、活躍する姿が希望の象徴となった。現実でも同町は人口減少が進み、JR日高本線も大部分が廃止になるなど厳しい状況が続いている。門別本人もドラマの内容は知っている。チームメートからも何度も、地元のことを聞かれているという。

「自分も、もっと地元を背負えるような選手になりたいなと思います」

4年目の来季はうま年。年間ローテ定着、そして2桁勝利へ。虎のホープが強く握った手綱に力を込める。【柏原誠】

◆「ザ・ロイヤルファミリー」 TBS系で10月から放送中の日曜劇場のドラマ。山本周五郎賞を受賞した早見和真氏の同名小説が原作。競馬界を舞台に、夢を追い続けた大人たちが家族や仲間との絆で奇跡を起こしていく壮大な物語。出演は妻夫木聡、佐藤浩市、目黒蓮ら。JRAの全面協力で騎手の武豊らも劇中に登場。北海道出身の玉置浩二が書き下ろした主題歌「ファンファーレ」も話題に。後継者問題などに直面する日高地方の競走馬生産者の苦闘もつぶさに描かれる。

◆日高町 太平洋沿いの旧門別町と内陸の旧日高町が06年に合併して誕生した飛び地の自治体。札幌から南東に約100キロ。人口は門別9932人、日高1347人の計1万1279人(20年度)。競走馬の生産・育成牧場や観光牧場が多数。特産品にシシャモ、ヤマメ、タコなど。21年にJR日高本線の鵡川駅以東が廃線になり、町内の電車がなくなった。最寄りの鵡川駅から町役場までは約20キロある。大鷹千秋町長(69)。

【関連記事】阪神ニュース一覧