<楽天7-3日本ハム>◇13日◇Kスタ宮城
マー君が帰ってきて、楽天が首位タイに再浮上した。13日の日本ハム戦(Kスタ宮城)で、右肩の強い張りで出場選手登録を抹消されていた田中将大投手(20)が、4月29日の日本ハム戦以来の復帰先発。7回104球8安打3失点で5試合連続完投勝利は逃したが、無傷の5連勝。5回までの7点の大量援護が“快気祝い”となった。岩隈久志投手(28)との両輪がそろい、野村楽天が再び首位街道を歩んでいく。
勝利がすべてを洗い流した。マウンドでずっと険しかった田中の顔は、チームメートとの勝利のハイタッチで、ようやく笑顔になった。野村監督には頭をコツンとされ、「頭をはたかれちゃいました」と笑った。毎回走者を出し、不本意な7回8安打3失点。それでも勝てたことがよかった。今季初めて不調と闘った男には、白星を得たことが何よりの救いだった。
歯がゆさといら立ちが、いつもと違う雄たけびになった。6回無死一塁から、稲葉に投げたフォークが甘く入った。結果はファウルだったが、直後に言葉にならない声を張り上げた。「真ん中に入ってしまったので。今日は技術も状態も両方悪かった」と、納得のいかない投球を振り返った。開幕からの4試合連続完投勝利は、内容も文句なし。だがこの日は立ち上がり制球を乱し、終盤まで修正がきかなかった。「打つ方でも守る方でも助けていただいた。自分は本当に何もしていないんじゃないかというくらいです」と恐縮した。
「完投」の声とも闘った。7回を終え4点のリード。球数は104球と万全なら完投ペースだったが、あえて無理はしなかった。不調時での投球動作は、好調時以上に肉体にダメージを残すからだ。戦線離脱を繰り返さないための決断。出場登録抹消も、自らの希望だった。山本トレーナーは「去年の夏、肩を痛めて離脱した経験からでしょう。同じことを繰り返さないという、精神的な成長だと思いますよ」と明かした。この日の降板も、チームに迷惑をかけたくない思いからだった。
離脱中もチームとともに戦っていた。復帰登板までの調整は任されたが、希望して1軍に帯同。「2軍で練習しているより、帯同していた方がチームの雰囲気が分かるので。連敗もしていたし、いい流れではなかったので、なんとか勝ちたかった」と説明した。昨夏、右肩の故障で2軍落ちした時も、ギリギリまで1軍帯同を直訴。首脳陣の説得で、ようやく2軍行きを決めたほどだった。常にチームの一員として戦うことを、忘れることはなかった。
不調でも負けない田中の勝負強さで、チームは首位タイに再浮上。今季初の3連敗も免れた。
野村監督
7回でいっぱいというから「何ぃ!」ってなった。完投しなかったから、ちょっと小突いた。完投してくれれば安心だけど。八分咲きだよ。首位?
うちのチームはまだ未完成だしな。
お立ち台で今後の抱負を聞かれた田中は「次はもっといいピッチングをします!」と声を張り上げた。4勝を挙げている岩隈に加え、田中が本調子に戻れば、チームはまた1つの完成型に近づく。【小松正明】
[2009年5月14日8時25分
紙面から]ソーシャルブックマーク



