<オリックス4-12ソフトバンク>◇15日◇京セラドーム大阪

 ソフトバンク摂津正投手(27)がスーパーリリーフだ。リーグ新人記録を更新する63試合目の登板は、13日の楽天戦を発熱で欠場して病み上がりで、5-2の8回無死満塁からの出番。絶体絶命の状況だったが、併殺と空振り三振で最少失点に封じた。必勝リレー「SBM」の崩壊を止め、9回の猛攻を呼び込んだ。

 1球で反撃ムードを断った。無死満塁で打席に迎えたのは、5回にソロ本塁打を放った岡田。1発逆転の場面でもスーパールーキーは、まゆひとつ動かさなかった。「緊張はなかったです。準備はしてましたから」。「ノーコン投手」だった社会人3年目から現在のフォームに変え、6年かけて磨いた制球力。病み上がりのせいか、両目の下にはクマがあったが、絶対の自信は揺るがなかった。

 大きく息を吐き、静かに投球動作へ入る。初球に選んだのはカーブ。打ち気にはやる21歳岡田のタイミングを外し、注文通りの併殺だ。三塁走者の生還は想定内。「最後まで気は緩めなかった」。続く山崎浩はフルカウントから外角低め直球でバットに空を切らせた。大仕事を終えると、ガッツポーズをすることもなく静かにマウンドを降りた。

 正念場だった。8回からファルケンボーグが登板したが、走者3人を出して降板した。11日の楽天戦では「SBM」の最後で馬原が6失点でまさかの逆転負けを喫し、13日の同戦は摂津自身が高熱で欠場。必勝リレーが崩壊の危機を迎えていたが、3人そろい踏みでは8月7日以来の勝利へ導いた。秋山監督も「摂津はあそこをよく抑えてくれたよ」と手放しでたたえた。

 同僚藤岡が06年にマークした62試合を抜き、また金字塔を打ち立てたが「そうなんですか。気にせずやるだけ」と意に介さない。頭の中にあるのは、目の前の1勝のみ。信頼の「S」がいる限り、首位追撃の勢いは衰えない。

 [2009年9月16日12時6分

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