阪神矢野燿大捕手(41)が5月31日、亡き恩師の墓前で今季の健闘を誓った。練習前に出向いたのは、東北福祉大野球部時代の監督で02年に亡くなった伊藤義博氏(享年56)のお墓だった。

 「もうできへんと思った野球をやらせてもらった。あの人がいないと今の僕はいないから…」。桜宮高1年時の監督で進路で息詰まった時「仙台に来い」と誘ってくれたのが同大監督に就任していた伊藤さんだった。「レギュラーのお前らが一番謙虚になれ。打撃投手やグラウンド整備する人がおるから野球できるんや」。感謝の野球を教わり、中日にドラフト2位指名されるまで育てくれた。仲人も務めてもらい、一緒に学んだ金本とともに恩人中の恩人だった。

 交流戦が始まった05年から毎年、参ってきた。だが昨年は右ひじ痛で2軍。そして城島が入って出番が激減した今季は、これまでと違う決意もあった。「来られてすっきりした。頑張らなあかん気持ちや」。

 5月8日広島戦を最後に15試合出番がない。それでも早出特打やベンチ裏での代打準備は欠かさない。ベストを尽くす道は間違っていない。天国の伊藤監督が、矢野に勇気をくれたに違いない。【松井清員】

 [2010年6月1日11時13分

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