<ソフトバンク10-5横浜>◇10日◇福岡ヤフードーム

 4番の意地だ。ソフトバンク松中信彦外野手(36)の一打がチームに勝利を呼び込んだ。7回無死一、二塁の場面で左翼へ運んで勝ち越し。5試合ぶりの打点は、この回ダメを押す5得点猛攻の呼び水となった。1回と7回のビッグイニングで横浜に2連勝。右ひざ打撲を抱えながらも強行出場を続ける主砲のバットが、3連覇へ臨みをつないだ。

 待ちに待った一打にスタンドもわいた。今季4番に座って4試合目。主砲松中が、ようやく4番の役割を果たした。5試合ぶりのタイムリーはチームを勝利に導くV打になった。

 7回表には「SBM」の先頭、摂津が打たれて同点に追いつかれた。その直後、主砲のひと振りが嫌なムードを変えた。本多、オーティズが連打で出て無死一、二塁の場面。6球目の外角のシュートを逆らわずに左に流し、本多が勝ち越しのホームを踏んだ。

 松中

 いいところで打てましたね。あそこで打っておかないと向こうに流れがいく場面でした。

 この一打が呼び水となって初回に続きビッグイニングが訪れ、打者9人で5得点。追い上げる横浜を突き放した。

 7日の阪神戦。手術を受けた右ひざに自打球が直撃し負傷退場。「(骨が)折れたと思った」ほどの衝撃を受けた。幸い打撲だったが、その後も強行出場している。「休んでいられない。どんどん打席に立って打撃を上げていかなければ」。休養を取るよりも調子を上げることを優先した。

 この日は若手よりも早く練習場に姿を現し、特打を行った。立花打撃コーチからマンツーマンでアドバイスを受けながら1球1球確かめるように打撃練習を行った。前夜は1安打ながら打点はなし。無死満塁で回ってきた初回から3打席連続で凡退。「初回に打てなかったし、何とかこのチャンスでと思っていた」。ようやく表情が柔らかくなった。

 チームは交流戦初の貯金2をマーク。3連覇に望みをつないだ。主砲の目覚めで勢いづいたソフトバンクの重量打線が、残り3試合全勝を狙う。【前田泰子】

 [2010年6月11日11時33分

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