<ソフトバンク3-9日本ハム>◇23日◇北九州市民

 日本ハムが梨田昌孝監督(56)の勝利にこだわる采配で、今季2度目の5連勝をマークした。大量9点をリードした4回に、プロ初勝利が懸かった先発の矢貫俊之投手(26)が3点を返されると早めの継投策へ。2回2/3を無失点救援した2番手榊原諒(24)に3勝目が転がり込んだ。5位楽天が勝ったため、最下位脱出はお預けとなったが、リーグ戦再開後は無敗で借金も「5」まで減らした。

 信念に従って振るったタクトで、今季2度目の5連勝を導き出した。梨田監督は「この点差でも勝った気はしないけどね。今のところうまくいっている。ピッチャーがそれなりに抑えてくれて、打線も相手より1、2点でも多く取ってくれているから」。4月3日以来の借金「5」。最大14まで膨らんでいた負債は、あとわずかというところまできた。

 ゲームの流れを読み取り、“情”を封印した。9点の大量リードで迎えた4回、快調だった矢貫が突如乱れた。先頭の松中に右翼スタンドへ運ばれると、多村にも左前打を許し、続くペタジーニには左翼席へ2ランを浴びた。あっという間の3失点。さらにオーティズ(走塁死)、長谷川、松田にも安打を許したところで、決断した。「本当は放らしてあげたい気持ちはあったんだけどね。9点差になって硬くなったかな」。まだ6点のリードはあったが、プロ初勝利までアウト5つに迫っていた矢貫を早々に下げ、榊原を送った。

 その榊原は代打田上、川崎を抑えて流れを止めると、6回まで1安打無失点と期待に応える好投。増井、糸数が負傷で急きょ降板した15日ヤクルト戦、18日オリックス戦に続き、スクランブル登板で自身3連勝を9日間で成し遂げた。「調子がいいし、思い切って投げられました。(ドラフト同期の)矢貫さんに自責点がつくのもイヤだったし、何とか抑えようと思いました」と胸を張った。

 1回の攻撃では先頭の田中が出塁すると、森本が強攻策(中前打)でチャンスを広げ先制点につなげた。手堅い野球を繰り広げてきた今季だが、この日は送りバントわずかに1つ(失敗)。梨田監督は「今日は点がいるから。地方ゲームだし、ピッチャーのことを考えたら点は絶対いる。(強攻策が)外れることもあるけどね」。結果的に15安打9得点で強力ソフトバンク打線を圧倒。“戦場”の流れを読み切った戦術と采配は、攻守でキレた。ディフェンディングチャンピオンの反攻が、いよいよホンモノになってきた。【本間翼】

 [2010年6月24日12時1分

 紙面から]ソーシャルブックマーク