新球は火の玉カーブ!?

 阪神藤川球児投手(30)が2日、春季沖縄キャンプで初のブルペン投球を行った。オフ期間の下半身強化で投球フォームが安定。変化球にもキレ味が増した。昨年まで大きな弧を描いたカーブは、スライダー気味の鋭い軌道にモデルチェンジ。変化球も進化させ、戦う態勢を着々と整えてきた。

 進化した姿を見せつけた。2月2日、12時2分。ブルペンに小走りで入ってきた背番号「22」は、5つあるプレートの真ん中を選んだ。藤川が、プレートの後ろから試運転で投げたのは、わずか2球。力を抜いてでも、誰よりも速い直球で一瞬にして空気を変えた。11年版の守護神お披露目に、ブルペン中の視線を集めた。

 12球の肩慣らしを終えるとギアチェンジ。捕手を立たせて29球を投げた時点で指示を出す。

 「座って。変化球だけ」。

 マメができテーピングした右手中指を時折気にしながら、指に負担の少ないカーブを指定。だが、繰り出されたボールは従来の軌道とは異なっていた。さすがに、ライバル007も驚きを隠せなかった。

 中日佐藤秀樹スコラー

 これまでのフワッとするカーブじゃなくて、スライダーみたいだった。フォームもぶれないし、体重移動もしっかりできている。真っすぐも生きるね。

 大きな弧を描くのではなく、鋭く落ちる進化形だ。8球連続して投げ続け、感覚を体に染みこませた。今オフ、走り続けてきたたまものだ。目に見える変化に、球児も手応えを感じている。

 藤川

 下半身はできている。体がキレれば(フォームも)安定する。(新しいカーブの変化)そうしたいんだけど、あれを続けられるように体を鍛えないといけない。体がしっかりできていれば、カーブもキレる。体が使えていないと(変化が)ドロンとする。とにかく、体を強くしたい。

 最後はストレートを2球で締めた。座らせた状態で14球。計55球の投球で、成果を確認し自信を深めた。

 今キャンプではアーリーワークを導入、この日も午前8時45分からロードワークを行った。走り込みのため、ブルペン投球を大幅に遅らせる考えもあった。だが、あえて衝動は抑えなかった。

 「キャッチボールだけじゃ、面白くないでしょ」。

 これまでキャッチボールでも、こだわり続けた投げ終わりのポーズ。ブルペンでも右膝をグイッと前に出し、胸に付きそうな形を意識していた。これこそ、ぶれない下半身を強化した証しだ。青いマウスピースをかみしめ、進化した火の玉カーブに、新たなフィニッシュポーズ…。新たな守護神像が見えてきた。

 [2011年2月3日12時29分

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