中日チェン・ウェイン投手(25)が10日、練習中に足の張りを訴えて早退した。内転筋を痛めた模様で、予定されていたフリー打撃登板、ランニングを回避。今日11日は別メニュー調整の見込みだ。昨季の開幕投手・吉見一起投手(26)が右肘手術の影響で開幕絶望の見通し。さらに本命の左腕が離脱すれば、緊急事態となる。

 予定されていたマウンドにチェンの姿はなかった。この日、フリー打撃に登板するはずだったが、いつまでたっても左腕は現れなかった。ここまで順調だったオレ竜キャンプの雲行きが一気に怪しくなった。

 関係者によれば、異変が起きたのはウオーミングアップ後のサブグラウンドでのノック終了後。足の張りを訴えたチェンはそのままトレーナー室へ直行。フリー打撃登板を回避し、午後のランニングメニューも中止して、午後2時に早々と北谷球場を後にした。

 チェンは帰りの車に乗り込む際、登板回避について「今日はバランスが悪かったのでやめました」と答えた。さらに、故障かという問いに「そういうことではないです。大丈夫です」と否定した。だが、今日11日の練習メニューからは名前が消えた。下半身の故障は長期化しやすい側面があり、慎重に状況を見極める必要がある。完全別メニューとなれば、調整遅れは避けられない。

 まさに緊急事態だ。昨季開幕投手を務め、12勝を挙げた吉見が昨シーズン終了後に右肘手術を受けた影響で、3月25日の開幕には間に合わない見通し。そこで昨季チーム最多の13勝を挙げた左の大黒柱チェンが開幕大本命と見られていた。そのチェンの離脱が長引けば、開幕投手が混迷するばかりでなく、開幕から苦戦することは必至だ。

 12球団屈指の投手力を誇る落合竜だが、落合監督、森ヘッドコーチが計算しているのは、吉見とチェンの左右の両輪だけ。逆に言えば、この2人の活躍がなければ持ち味の守りの野球も機能せず、連覇への道も非常に厳しい状況になる。

 チェンは代理人交渉をへて、今季終了後に自由契約となる権利を手にした。以前から持っていたメジャー挑戦という夢に近づき、さらなる飛躍が期待されていた。今キャンプも2日前に全投手最多の204球を投げ込むなど順調だった。それだけに本人にとっても、首脳陣にとっても痛恨のリタイアと言えそうだ。

 [2011年2月11日10時19分

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