中日マキシモ・ネルソン投手(28)が15日、今キャンプでチーム最多の222球を投げ込んだ。ブルペンで谷繁を座らせて1時間30分の熱投。開幕投手について「チャンスがあるならやりたいね」と、初めて色気を見せた。急ピッチ調整で仕上げる204センチ右腕が、にわかに竜投のキーマンになってきた。

 汗だくになったネルソンがブルペンを独占した。100球を投げてもまだ投球練習を終えようとはしない。約1時間30分。球数が222球に達したところで、ようやくマウンドから離れた。09年にも2度、200球以上の投げ込みを実施したが、今キャンプは初となる200球超え。捕手谷繁からは「このクール1日目だぞ?

 大丈夫か?」と心配されるほどだった。

 「日本に来てから一番多く投げたかな。コントロールと左肩の開きを抑えることを意識したけど、考えていたとおりに投げることができたよ」。

 独自のハイペース調整は異彩を放っている。キャンプ2日目に打撃投手を務めたときは、いきなり147キロを計測。その後もシート打撃で148キロ、149キロと球速を上げた。キャンプ序盤は一般的に調整が早い投手優位の場合が多いが、それでもこの男の球速だけは明らかに際立っていた。外国人投手は肩の消耗を防ぐため、投げ込みを避ける傾向にあるが、そんな常識も関係なかった。

 開幕投手への色気も出てきた。昨季の開幕投手・吉見が右肘手術の影響で出遅れている。開幕投手大本命のチェンもキャンプ中に左足内転筋を痛めてこの日、ブルペン投球を再開したばかり。投球練習が終わりかけに谷繁から「お前が開幕投手だよ」と冗談っぽく声を掛けられた。意識しないワケがない。

 「自分には全然わからない。ただ、チャンスがあればやってみたいね」。

 これまで慎重に言葉を選んでいたが、あまりの仕上がりの良さに、本音が出てしまった。今季は滑りやすい統一球が導入されるが、ドミニカ共和国のウインター・リーグで使用されているものに近いという。ネルソンにとっては追い風だ。

 「これからも一生懸命投げるだけ」。

 ライバルはチェンだけではない。中田賢、山井ら実績がある投手陣もシーズンに合わせて着々と準備を進めている。だが、今のネルソンは、開幕投手に近い位置にいることは間違いない。【桝井聡】

 [2011年2月16日12時28分

 紙面から]ソーシャルブックマーク