チェン、重症だった。左足内転筋を痛めた中日チェン・ウェイン投手(25)は全治8週間であることが19日、分かった。開幕どころか、シーズン序盤も戦列に加われない可能性もある。2軍の読谷球場でリハビリ中の左腕はまだボールを握れない状況。球団史上初のリーグ連覇を狙う落合竜がまさかの事態に陥った。

 大きな打撃となりそうだ。19日も2軍読谷球場に姿を見せたチェンの表情はこわばったままだった。左足太ももにサポーターを巻いたままトレーニング室に直行。ボールを握ることもなく、もちろんランニングをすることはなかった。リハビリを開始した2日前の17日とまったく同じメニュー。進展はなかった。

 事態は思っていたよりも深刻だった。左足内転筋痛を再発させ2軍行きが決まったのは16日。当初は軽症と見られていたが、実際は違った。

 チーム方針で詳細は明らかにされていないが、関係者の話を総合すると、患部はかなりの重症のもよう。全治6週間から8週間はかかる見込みだという。15日の発症を起点にして完治するのは最悪で4月12日。驚異的なペースで回復しても3月25日の開幕はアウト。それどころか交流戦までのシーズン序盤に間に合わないケースも考えられる。

 「感覚としては少しずつ良くはなってると思う。まだ、キャッチボールがいつかというのは分からない。その日、その日でコーチの指示に従ってやっていくしかない」

 トレーニング室から出てきた左腕は前向きなコメントを残したが、見通しは暗い。下半身の故障は長期化しやすい側面があり、どうしても慎重にならざる得ない。球数を多く投げ込むことで肩を仕上げるタイプ。完治してからも実戦までは一定の時間を要する。

 現時点でも4日間はボールを握っておらず、1軍マウンドで投げるには、肩を作り直す必要がある。

 昨季の開幕投手で12勝した吉見が右肘手術の影響で開幕に間に合わない可能性が高い。昨季チーム最多の13勝を挙げたチェンに先発ローテーションの軸の期待が集中していた。そのチェンの離脱が長引けば、左右の両輪抜きでシーズン序盤を戦うことになる。

 それだけではない。2軍がキャンプを張る読谷球場には昨季5勝の山本昌が別メニュー調整中。中継ぎの柱・高橋も左肩痛の影響でブルペン入りの見通しは立っていない。12球団屈指の投手力を誇る中日。その屋台骨が揺らいでいる。

 [2011年2月20日11時11分

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