<日本ハム1-2ロッテ>◇8月31日◇東京ドーム

 ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手(28)が7回、先制の6号ソロをバックスクリーンにたたき込んだ。右脇腹痛のため21日に登録抹消し、最短10日で復帰して、いきなりの決勝アーチ。投げては成瀬善久投手(28)が7回無失点。4番が打って、エースが抑え、連敗を「5」で対日本ハム連敗を「10」で止めた。

 「デスパ・イイネ!」。帰ってきた4番は、ヒーローインタビューで決めぜりふを叫んだ。東京ドームの左翼席を埋めたロッテファンは、一斉に拳を天に突き上げた。5連敗だけではなく、対日本ハム10連敗。出口の見えないトンネルに苦しむチームを、主砲のバットが一振りで救った。

 完全なボール球だった。緊迫した投手戦は、7回になっても0-0。先頭のデスパイネは「変化球を待って、全力で振る」と、どこまでもボールを飛ばす決意で打席に立った。1ボールからの2球目。目の前を通るほどの高めスライダーをフルスイング。「QVCマリンじゃ届かないけど、東京ドームなら届く」と本塁打を確信する当たり。接戦における本塁打の威力は、ナインに波及する。6番今江もソロで続いた。完全に流れを引き寄せた。「思いっきりブッたたいただけだよ。自分の本塁打でチームに元気が出て、勝利につながったのは良かった」と、主砲はご機嫌だった。

 最短10日で帰ってきた。20日オリックス戦で右脇腹を痛め、21日に抹消したが「2日後には痛みは消えたらしいよ」と伊東監督も驚く回復力。浦和2軍球場で黙々と練習に取り組み、打撃練習では、その豪快な打球で2軍選手を驚かせた。前日30日のイースタンDeNA戦で試合出場して1軍に復帰するプランは、雨天中止で変更となった。ぶっつけ本番になったが、デスパイネは選手、関係者に「状態は100%。明日は2発打つ」と宣言して2軍を去ったという。

 まさに待望の1発。試合前の伊東監督は「今日は主砲が帰ってきたからね」と復帰即の先発起用を明かし、連敗を止める活躍を望んだ。希望通りに4番が打ち、エースが抑える勝利に「こういう試合をしたかったんです」と喜んだ。今日から佳境の9月。「イイネ!」連発を期待したい。【金子航】