ライト級で有岡康輔(24=三迫)が2回1分58秒KO勝利を飾り、敢闘賞に輝いた。8月末で閉鎖となった名門ヨネクラジムに中卒で入門したたたき上げ。「ヨネクラ魂」を胸に、3度目の挑戦で日本一に立った。

 試合前の作戦は左ジャブで距離感を作るはずだった。実際は、「いっちゃいましたね」。有岡は猛烈に、愚直に接近戦で渡り合った。初回に小畑のしつこいボディーに劣勢も、2回に打ち合いから強烈な右フックなどでダウンを2度奪い、KOを呼び込んだ。「ヨネクラ魂で勝ちました」。根性、前に出る、クリンチしないの3原則。「今日はクリンチはしてしまった」と反省も、15歳から通った名門ジムの信念を体現した。

 後楽園ホールは小6で「大の大人が殴り合って歓声がすごかった」とボクサーを志した原点でもあった。ジムの閉鎖が決まった春、新人王準決勝を控えることから、早めに三迫ジムに移籍させてもらった。双方に恩返しを果たし、「魂を引き継いで王者になりたい」と誓った。