ついにノアのエースになった。メインイベントGHCヘビー級選手権試合で、挑戦者の中嶋勝彦(33)が第35代王者の丸藤正道(42)を破り、16年10月以来2度目の戴冠を果たした。

3日の後楽園大会で史上初の「N-1 VICTORY」連覇を達成し、勢いに乗る男は、この日も序盤から攻めて攻めて、攻めまくった。「ショータイムだ!」。まさに独擅場。カメラの前で不敵な笑みを見せるなど、余裕すら漂わせた。

だが、その余裕は一瞬で消えた。丸藤に大外刈りで場外に投げられた際に、左肘を負傷。患部を容赦なく攻められ続け、「痛い痛い」と絶叫する場面もあった。

それでも、気迫を切らさなかった。「腕がダメなら足」と、強力なキックで応戦。最後は、渾身(こんしん)のヴァーティカルスパイクを突き刺し、3カウントを奪った。37分を超える熱戦を、笑顔で締めくくった。

悲願の“丸藤超え”だ。中嶋にとって、丸藤とのタイトルマッチは「やっと、たどり着いた舞台」。過酷なN-1をはい上がったというだけではなく、7年前の博多での同じタイトルマッチでは、その牙城を超えられなかった苦い経験がある。試合の前から「やっと」を幾度となく発してきた男が、やっと「丸藤正道を食った」。

試合後はいつもの不敵な笑みを浮かべた新王者。興奮冷めやらない観客の前で「いいか、時代が動くぞ。俺がノアだ!」と高らかに世代交代を宣言してみせた。

次期挑戦者の田中将斗にも「お前もおいしく食ってやる」とにやり。中嶋勝彦の進撃は止まらない。【勝部晃多】