25日、東京・有明アリーナで開催されるWBC、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチの記者会見が22日、横浜市のホテルで行われた。WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(29=米国)、WBC、WBO世界同級1位井上尚弥(30=大橋)が初対面し、意気込みを口にした。

会見ではフルトン陣営から井上のバンテージの巻き方に関する英文記事をみながら“疑惑あり”と指摘され、井上は「すごくナイーブだなと。24戦全試合、正々堂々としている。少し何かナイーブになりすぎかなと。こちらも正々堂々と戦うのでご心配なく」とクールに対応した。

「ひとこと言わせてくれ。選手(フルトン)は気にしていないが」と前置きしたフルトン陣営のワヒィード・ラヒム・トレーナーの口から飛び出したのは、井上のバンテージの巻き方に関する指摘だった。WBC、WBO、日本ボクシングコミッション(JBC)に向けて「2人のファイターがもっとも大切なのは何でしょうか?」と安全性の徹底を強調。スマートフォンで「井上尚弥のハンドラッピングに疑惑」という英文記事をみながら「ハンドラッピングが安全な方法でなされ、安全に試合できることを祈る」「記事で井上のバンテージの巻き方に論争が起こっているので、この試合に関してはこういう問題が起きないように試合の準備をしてほしい」と訴えてきた。

現在、米国ではバンテージに関するルールが厳しくなっている。日本とは違い、両拳に布をつけてからバンテージを巻くなど統括する世界団体やローカルコミッションがチェックすることになっている。今回はWBC、WBOルールに準じるため、JBCも「世界基準」に合わせてチェックする必要がある。24日の前日計量後に開かれる両陣営、WBC、WBO、JBCを交えたルールミーティングでも確認が行われる。

これまで24勝21KO無敗で世界戦19連勝の井上。創刊100年を誇る権威のある老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(階級超越した最強ボクサー)ランキングで昨年6月に1位、昨年12月には史上9人目の4団体統一などの実績を残してきた。世界的な知名度がアップすればするほど、相手陣営から次々と繰り出される1つの「神経戦」とも言えそうだ。