プロレスリング・ノアが31日に後楽園ホール大会を開催する。メインイベントは王者イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.(32=メキシコ)に、グッド・ルッキング・ガイズ(GLG)のリーダー、ジェイク・リー(35)が挑戦するGHCヘビー級王座戦だ。

大一番を控えたジェイクがこのたび日刊スポーツの取材に応じた。王座戦への意気込みや、熱心に取り組む柔術について、そして1月2日有明アリーナ大会を救ったとも言われるマイクパフォーマンスの裏側まで、存分に語ってくれた。(聞き手・千葉修宏)

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-ワグナーJr.選手との決戦が迫っている。2度目のGHCヘビー級戴冠へ、意気込みを

ジェイク 私は本当に器用な選手じゃないんですよ。でも、なんでここまで来られたかっていうと、やっぱりこの体格(192センチ、110キロ)ですよね。この恵まれた体格があって、それを駆使して戦った結果、今に至るっていう感じなので、いまさらこの戦い方を変えようなんて思わない。ただ、ちょっとしたスパイスはどの試合にも必要だと思っていて。そのスパイスとなるものが成功するのか失敗するのか本当にそれは私にもわからないんですけどね。それ次第では、リズムがガラッと変わるので、そこを楽しみにしていただければって思ってます。

 

-プロレスは「受け」のスポーツ。相手の攻撃を受け、相手の強さを出した上で勝つことが要求される。ジェイク選手のその大きな体は、どんな技でも受け止められそうだ

ジェイク 私のこの体って何のためにあるんだろうって常に思うんですよ。この競技をしていて、この体をどう生かそうって。やっぱり受け止めるためなんですよね。でかくて的が大きくて、なおかつ厚みがあって。やっぱり私がドンと構えて受けないと、って思うんです。そうなったら痛いもなにも、それ以上に「やってこいよ、受けきってやる」っていう気持ちの方が強いですよね。

 

-ワグナー選手の攻撃も受けきる

ジェイク その気持ちは(誰に対しても)常にあります。その上で、受けきった分、自分も返すというのが私のスタイルなので。けれどGHCヘビー級のベルトを彼(ワグナー)は持ってますから。彼の方が今その(相手の攻撃をまず受けるという)気持ちと向かい合わなくちゃいけないかもしれない。ワグナーは「どんなスタイルでも対応する」と言っていたので。それは彼のプライドからのひと言でしょうね。「お前が相手でも受けきってやる」という意味もその言葉には秘められていると思う。

 

-ジェイク選手といえば、プロレス以外にも柔術の練習にも熱心に取り組んでいることで知られている。どうやって柔術にのめり込んでいったのか

ジェイク きっかけは、RIZINに出ているホベルト・サトシ・ソウザ選手。サトシ・ソウザが所属している「ボンサイ柔術」が浜松にあるんですけど、浜松で興行があった時に営業で行ってるんですよ。ポスターを貼りに。(ボンサイ柔術所属の関根)シュレック選手がその大会に出ていたっていうのもあって。それでごあいさつに行ったら「一緒に練習しましょう」って。その時、道着を着るのもほぼ初めてだったんです。

 

-初めて体験する柔術はどのようなものだった

ジェイク その日のクラスを受け持ってたのがサトシ先生。ある程度、打ち込みが終わった後に、サトシ先生がちょっと僕と(スパーリングを)やろうよって。そしたら、立ってるのがいっぱいいっぱいだったんですよね。もうとにかく寝ないように、寝ないようにと。何か隙があればと思ったんですけど、全くそんな隙も与えてくれずに終わって。その次にシュレック選手とですよ。上に乗られて固められたら全く動けない。「俺、何もできなかった」って思ったわけですよ。

-柔術に出会い、いきなり本物の人たちに触れた

ジェイク どの世界にも、バカみたいに強いヤツ、うまいヤツっていうのがいるわけで。どう頑張っても太刀打ちできないレベルなんですよね。でも、この柔術っていう競技はすごいプロレスに通ずるものがあるし、そこで全く自分が何もできないっていうのはちょっと問題だぞと思って。あとすごく悔しかったっていうのもあったんですよ、シンプルに。

 

-そこから柔術にのめり込んでいった

ジェイク 学び始めたら面白いわけですよ。最初はもうボロクソにやられる。(道場の)一般会員の方にも、普通に。そんなボロボロになる日が何日も何日も続いて、それが1分に1回(相手から技を)決められるようになって、今度1分半に1回、2分、3分って徐々に決められにくくなって。今度は自分がアタックする技術が身に付いてきたら、その攻防ができるようになっていくんですよね。そうなったらすごく楽しくなるし。フィジカル要素もすごい強い競技ではあるんですけど、頭をすごく使うんですよね。その頭の柔らかさっていうのがプロレスに通ずるものがあって、だから今でもやり続けてるっていうのはありますね。

(その2に続く)

【その2】有明でのマイクは「2人に拍手のつもりが…」