ボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真(28=大橋)が「限界突破」をテーマに井上兄弟初の同時防衛を狙う。5月6日、東京ドームで同級1位石田匠(32=井岡)の挑戦を受ける。11日に横浜市の所属ジムで練習を公開。メインで4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(31=大橋)がWBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦に臨み、19年11月以来、約4年6カ月ぶりの同時世界戦。体格差のある石田をKO撃破し、兄に勝利のバトンをつなげる。

    ◇    ◇    ◇

着用Tシャツに井上の決意が刻まれていた。ペットのヒョウモントケガモドキ「レビンくん」のイラストとともに「BUST THE LIMIT(限界突破)」の文字を入れた。2月24日、元V9王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)をKO撃破し、初防衛に成功した自信が胸にある。「さらにリミット解除という意味で。限界を超えたい」と説明した。

約2カ月半という短いスパンでのリングとなる。挑戦者の石田とは体格差も大きい。身長では井上が163センチに対し、石田は173センチ。リーチも井上が163センチに対し、177センチ。越える「壁」をすべて突破する意味合いが強い。井上は「相手は長身でジャブがうまいが、最終的に完封して倒す。日本人対決の方が気持ちのぶつかり合いが多く、楽しみ」と口にした。

東京ドームで約4年6カ月ぶりの井上兄弟同時世界戦に臨む。井上は「前回は自分が負けてしまった。前回の同時世界戦よりも自信がある。最高のバトンを兄につなげたい。ドームに入ったことがないので分からないが、5万人の中で戦えるのでモチベーションは高い」と気合を入れ直した。

現在、同級は中谷潤人(26=M・T)がWBC王者となる。西田凌佑(27=六島)が5月4日にIBF王座、同6日には同門の武居由樹(27=大橋)がWBO王座に挑戦する。井上は「日本人もすごく出てきて盛り上がる中、頂点は井上拓真だぞという存在感を残したい」とキッパリ。大舞台で井上兄弟初の同時防衛を成功させ、同級最強を示す覚悟だ。【藤中栄二】