世界4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29=畑中)が僅差の判定で王座から陥落した。同級6位プメレレ・カフ(30=南アフリカ)との初防衛戦。5回に右フックでダウンを奪われたが、その後は試合を支配。しかし判定はジャッジ2人が1ポイント差と超接戦のスプリット1-2で初防衛に失敗した。田中の戦績は20勝(11KO)2敗となった。
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潔く結果を受け止めた。ジャッジ2人がわずか1ポイント差で挑戦者を支持しての1-2スプリット判定。結果がコールされると田中は拍手で勝者をたたえた。
決め手を欠いた。中間距離でジャブのさし合い。5回に落とし穴にはまった。至近距離から右フックを不用意に浴びてダウンを食らった。結果的にこの1場面が勝敗を決した。
「今は悔しさしかない。どうこういうより頭が回っていない。とても悔しい」
7月に組まれた初防衛戦が挑戦者の異常な体重超過で中止となった。普通は精神的ダメージを負ってもおかしくないが、4階級王者はあらゆる可能性に備えていた。むしろ進化すべき与えられた時間と前向きに捉えた。「大きな変化をする上で時間はかかることをやってきた。僕にとっては貴重な時間だった」。
最大目標に同階級でのベルト統一を掲げ、その上でバンタム級を見据えた日本選手初の世界5階級制覇をターゲットとした。そのために必要なのは、階級の壁を打ち破る自らの進化。ディフェンスを中心に、血へどをはくような猛練習を積み重ねてきたが一瞬の隙があった。
今後の目標は白紙となった。「先のことは何も考えられないです。ただボクシングも含めて人生は続く。前に進むためにも今回の試合を整理したい」。エリート街道をばく進してきた田中が、ボクシング人生の岐路に立たされた。【実藤健一】
◆田中恒成(たなか・こうせい) 1995年(平7)6月15日生まれ、岐阜・多治見市出身。幼稚園から空手に打ち込み、小学5年からボクシングジムに通う。中京高では国体2連覇など4冠。在学中に畑中ジムに所属し13年11月プロデビュー。中京大に進み14年10月、4戦目の日本最速で東洋太平洋ミニマム級王者。5戦目にWBO同級王座を獲得した。8戦目の16年12月にWBO世界ライトフライ級、12戦目の18年9月に同フライ級王座獲得と最速の3階級制覇。4階級制覇を狙った20年大みそか、井岡一翔戦に8回TKOで初黒星を喫したが今年2月に4階級制覇を達成した。身長164センチの右ボクサーファイター。兄の亮明は東京五輪フライ級の銅メダリスト。
○…カフが田中を倒し新王者となった。「かなえたかった夢。今は自分が世界一。倒せて良かった」と喜んだ。5回にダウンを奪った右フックは「計画していたというより、田中が前に出てきたところにタイミングを合わせた」。終盤は連打を重ねられず「予想以上に速くて、タイミングを合わせるのが難しかった」と振り返った。今後は「ベストな選手と戦いたい。統一もできればいい」と見据えた。
7大世界戦!那須川天心初タイトル戦 中谷潤人、田中恒成/ライブ詳細https://www.nikkansports.com/battle/news/202410120001971.html

