井岡一翔(25=井岡)が必殺30連打で3階級目のベルトをつかむ。IBF世界フライ級王者アムナト・ルエンロン(34=タイ)との世界戦は今日7日、ゴング。6日は大阪市内で前日計量に臨み、1発でパスした。井岡は叔父弘樹氏(45)が果たせなかった3階級制覇をKOで飾るため、今回は30連打を猛特訓。「井岡家の悲願」を派手にかなえる。

 ボクシングを始めた中学生時代に描いた夢を、かなえる日がやってきた。フライ級のリミット50・8キロで計量をパスした井岡は「夢である3階級制覇を実現したい」と力を込めた。

 幼かった90年代に、元世界2階級王者の叔父弘樹氏が、3階級目の壁に4度も阻まれた姿を見てきた。「頑張ってる姿が、ボクシングを始めたきっかけにもなった」と井岡は言う。叔父の無念を晴らすため、今回は必殺技習得に取り組んだ。「30連発のコンビネーションを教えた」と父一法会長は明かす。ロープに追い詰め、打ち込む角度を変えながら、左右のパンチを上下に連打する作戦だ。「中盤から後半に倒しにいく」と一法会長。持ち味のスピードとスタミナを生かした連打で王者を倒す。

 追い風も吹いた。王者アムナトは計量前に体重のリミットオーバーが判明し、約30分の緊急運動。計量をパスしたが、調整の狂いは否めない。ルールミーティングでは、クリンチで接近戦を逃れるクセを持つ王者に、過剰な場合に減点が科されることも確認された。

 井岡には、ケガでリハビリ中のプロ野球・阪神西岡剛内野手(29)を勝利で励ましたい思いもある。西岡は、昨年大みそかの世界戦に応援に来てくれた大切な友人。「『3階級制覇を期待してる』と言ってくれた。西岡選手は西岡選手で戦っているし、僕は自分の舞台で戦って、それがいいエールになれば」。井岡家の悲願のため、友のため、井岡がすべての思いを拳に込める。【木村有三】<主なルール>

 10点法でフリーノックダウン制。4回までに続行不可能な場合は引き分け。5回以降は採点。バッティングで負傷した場合、故意なら負傷のない選手から2点減点。当日も計量。レフェリーはフライ級戦がマーク・カローイ(米国)、ミニマム級戦がラリー・ドジェット(米国)。ジャッジは両試合ともにパヴェル・カルディーニ(ポーランド)ヒルトン・ウィテカー(米国)エディ・ヘルナンデス(米国)。