日本相撲協会審判部は29日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月14日初日、福岡国際センター)の番付編成会議を開き、寺沢改め朝乃若(26=高砂)と平戸海(21=境川)の新十両昇進を決めた。寺沢改め朝乃若は「素直にうれしい気持ちと、ここから頑張るぞという気持ちです」と表情を引き締めた。

東洋大出身で18年春場所で初土俵を踏んだが、椎間板ヘルニアを患った。同年夏場所を途中休場、翌名古屋場所を全休して番付外に。「当時は私生活もままならなかった。相撲のことは考えられなかった」という。そんな時に「親方や兄弟子、後援会の方に支えてもらった」と奮起。19年初場所で再び前相撲をへて、同年春場所で序ノ口優勝、同年名古屋場所で三段目優勝するなどはい上がった。

ケガに苦しんだからこそ、新十両を決めたタイミングで験のいいしこ名に改名した。「朝乃若」は、部屋付き親方の若松親方の現役時代のしこ名。初土俵から引退まで、所要80場所で負傷による休場がなかった。「思い切り相撲を取る姿にも憧れていたし、ケガも少ない親方だった。それでしこ名を頂くことにしました」と若松親方に直談判して了承を得た。

高砂部屋にとっては、秋場所での朝志雄に続いて、2場所連続で新十両が誕生した。師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は、「(謹慎中の)朝乃山の復帰までに関取を作りたいと思っていた。次は幕内に上がる力士がいればと思う。みんなもそういう思いがあると思う」と言葉に力を込めた。朝乃若は「関取になってこれからという気持ち。ケガなく勝ち越せるように頑張りたい」と九州場所での目標を語った。