大相撲の関取衆最年長、東前頭筆頭の玉鷲(38=片男波)が、春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)の“台風の目”となることを予告した。

4日、都内の部屋で稽古。同部屋の新十両、玉正鳳と15番の三番稽古を行い、13勝2敗と圧倒した。部屋の若い衆2人と同時に相撲を取る稽古は「いつもはやっている」というが、この日は疲労などを考慮して行わなかったが、順調な仕上がりをうかがわせた。

勝ち越せば、小結だった昨年11月の九州場所以来、3場所ぶりの三役復帰に大きく前進する。ただ、本人が目指しているのは「関脇まで戻りたいね」と、19年7月の名古屋場所以来、4年ぶりとなる関脇の地位だ。

今年11月で39歳になるが衰え知らず。稽古後の取材で「大関も目指せるのでは」と問われると、笑いながら「いやいやいや、それはない」と否定。それでも「自分は(大関に)“なりたい派”じゃなく“倒したい派”。横綱や大関が勝つことを期待する人に、ボロクソに言われたって関係ない。空気なんか読まない。負けても勝っても、お客さんに『見に来てよかった』と思ってもらえる相撲を取りたい。人の心を動かしたい。そう思えば、幕内にいればどこにいても楽しみはある」と力説した。

今場所は連続優勝で綱とりの懸かる大関貴景勝に、注目が集まる。しかも兵庫県出身の貴景勝にとってはご当所。貴景勝の白星を期待する空気が充満することが予想されるが、真っ向勝負を宣言した。「誰が、引いたり、はたいたり、ばかりの相撲で喜びますか。前に出る。自分はそれだけです」。

強烈な立ち合いの圧力、突き、押しで、3度目の優勝を目指していく。