大相撲の関脇大栄翔(29=追手風)が、名古屋場所(9日初日、ドルフィンズアリーナ)で、2度目の優勝&大関昇進の“ダブル取り”を誓った。豊昇龍、若元春の両関脇とともに、史上初の大関トリプル昇進の期待が高まる中、4日は三重・鈴鹿市の部屋で稽古。連続15番相撲を取って13勝2敗と絶好調をアピールした。昇進目安は三役で3場所33勝。前2場所で計22勝と、他2人の同21勝を1勝リードする。あえてビッグマウスで退路を断つ、サッカー元日本代表の本田圭佑流で、大輪の花を咲かせる。

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言い訳はしない。そんな覚悟をにじませるように、大栄翔の稽古は熱を帯びていた。関取衆の申し合い開始から7分後。土俵に入ると、そこから13分間、15番連続で取って13勝2敗と気を吐いた。前頭筆頭の翔猿に2度不覚を取ったが、四つ相撲の前頭大翔鵬、十両大奄美には、まわしすら触らせなかった。得意の突き、押しで一気に勝負を決めた。大関昇進の目安まで11勝だが「11番勝とうとしたらダメ。優勝を目指す。その結果、大関に昇進できたら」と、堂々と話した。

多くの部屋が名古屋市近郊に宿舎を構える中、三重・鈴鹿市の追手風部屋で連日、稽古に励む。出稽古を重ねるライバルとは一線を画す調整。続けて相撲を取ることで体力をつけ、補っている。朝から気温30度を超える屋外の土俵にも当然言い訳せず。「いい稽古ができている」と、部屋の関取衆への感謝を忘れない。

「入門したころ、大関とりなんて想像もしていなかった」。名門埼玉栄高時代から遅咲きだった。ただ「稽古場の感覚、場所の成績、気持ちの面。常に前の年よりも強くなってきた」と、11月に30歳を迎える今が、一番強いと自負する。加齢も言い訳にはしない。

大関とりの場所は「強い気持ちを持ちたい」と、意図的に強い言葉を発してきた。「言うことによって、甘えが出ないようにすることが大事」。参考にしたわけではないが、本田圭佑と同じ理論。6月末の会見でも「力を出し切れば上がれる」などと発言してきた。重圧からも逃げない。かつての寡黙な男が、ビッグマウスで退路を断ち、昇進と優勝を狙う。【高田文太】